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(解説文は本人によるものです)

単行本 

     

song.jpg プレーンソング 創作ノートへ
デビュー作。90年9月講談社刊。「群像」90年5月号掲載。執筆時期は、前半が88年2〜4月。後半89年2〜4月。PLAINSONGの意味は、ユニ ゾンで歌われる歌のこと。文芸評論家は辞書もひかずに安易に「シンプルな歌」という風に解釈した。【絶版】
kusano.jpg 草の上の朝食 創 作ノートへ
93年8月講談社刊。「群像」93年3月号掲載。『プレーンソング』の続篇。執筆時期は、92年3〜8月。当時まだ西武百貨店に勤めていて、4/16〜 6/15の2ヵ月間休職して、そのあいだに仕上げようと思ったのだけれど、そんなに甘くはなかった。野間文芸新人賞受賞。【絶版】
nekoni.jpg 猫に時間の流れる 創作ノートへ
94年7月新潮社刊。「猫に時間の流れる」は「新潮」94年4月号掲載。「キャットナップ」は「群像」91年12月号掲載。次の『この人の閾(いき)』所 収作品の掲載時期も合わせて見てみると、当時なかなか単行本にならなかったことがよくわかる。「猫に時間……」は「この人の閾」よりずっと優れている。屈 指の名作ですね。【絶版】
iki.jpg この人の閾(いき) 創作ノートへ
95年8月新潮社刊。「この人の閾」は「新潮」95年3月号掲載。「東京画」は「群像」92年5月号。「夏の終わりの林の中」は「群像」93年12月号。 「夢のあと」は「群像」90年10月号。「夢のあと」ははじめて依頼されて書いた小説。【絶版】
kioku.jpg 季節の記憶 創作ノートへ
96年8月講談社刊。「群像」96年5月号掲載。執筆時期は、94年11月〜95年12月(ただし芥川賞受賞で途中2ヵ月は書けなかった)。短いのを書い ていたのでは芥川賞候補になるのならないのと煩わしいので、それまでの一人称小説の総決算のつもりで長いのを書くことにした。【ほぼ絶版】
habu.jpg 羽生――21世紀の将棋  創作ノートへ
97年5月朝日出版社刊。将棋論。はじめての書き下ろし。「将棋についてこんな風に書けるなんて驚きだ」と言われたが、これで評論として普通の水準だと思 う。つまり、日本には将棋に限らず、評論が存在しない。将棋というよりも芸術論や文学論として読まれた。
zankyo.jpg 残響(コーリングも併載) 創作ノートへ
97年6月文芸春秋社刊。「コーリング」は「群像」94年12月号掲載。「残響」は「文学界」96年11月号掲載。「コーリング」は「猫に時間……」と並 んで私が最も愛している小説。「コーリング」の美緒と「残響」の早夜香のような女の子を私はどうしようもなく好きだ。【絶版】
out.jpg アウトブリード
98年6月朝日出版社刊。それまで書いたエッセイに友人・樫村晴香へあてた私信を追加した。この本を境にして哲学書の書評依頼が増えてしまったけれど、私 はいつも「哲学なんか読めばわかる。小説を読む方がずっと難しいんだ」と言っている。綴りはOUTBREED。
enzan.jpg 〈私〉という演算
99年3月新書館刊。「群像」97年10月号の「写真の中の猫」から「大航海」98年10月号の「死という無」まで、一連の流れで書いた順に(掲載順では なく)9篇をまとめた。隔月刊の「大航海」連載の6篇が軸になっているが、連載タイトルを私は「熱力学的孤独」としたかったのだが……。
mouhito.jpg もうひとつの季節
99年4月朝日新聞社刊。朝日新聞夕刊に98年8月17日〜10月20日のあいだ連載。『季節の記憶』の続篇。『季節の記憶』より小説としてよくできてい るし、『〈私〉という演算』よりずっと哲学的なのに語り口が柔らかいと軽くみられてしまう。
ikiru.jpg 生きる歓び
2000年7月新潮社刊。「生きる歓び」は「群像」99年10月号掲載。「小実昌さんのこと」は「新潮」00年5月号掲載。で、長い“あとがき”は00年 6月に書き下ろし。“あとがき”と合わせて3つで1冊と考えてほしい。ここにある語り口は保坂の“素”。本来、私は荒っぽくて強引。かつ思考がとてもポジ ティヴ。
skb.jpg 世界を肯定する哲学
01年2月ちくま新書。「世界のはじまりの存在論」と題して雑誌「世界」で、99年11月号から00年10月号まで連載したエッセイ(論考?)の新書化。 通して読み直してみると、思考がかなり蛇行している。つまり私はなんといっても小説家なのだ。しかし本当の哲学って、こういうものかも。
小説修業
01年9月朝日新聞社刊。同社のPR誌「一冊の本」で「日々のレッスン」と題して、00年1月号から01年3月号まで連載された、小島信夫氏との往復書簡 の単行本化。連載時期が『世界を肯定する哲学』と重なるので、ある意味ではそれの文学バージョン。小島先生の切り返しが面白く、二人でボケたり突っ込んだ り……。
明け方の猫 
01年9月講談社刊。「明け方の猫」は「群像」01年5月号掲載。併録の「揺籃」は当HPで00年9月から12月まで発表するも、雑誌では未発表の、80 年に書いた“幻の処女作”(創作ノート参 照のこと)。未発表ゆえにたんなる「習作」と早トチリする人がいるが、「揺籃」が一番面白いと思う人がいても不思議ではないはず。



文庫本


skb.jpg プレーンソング/草の上の朝食
講談社文庫。96年8月刊。解説、木田元。哲学の木田先生とは西武のカルチャーセンターで、講師と企画担当者以来のおつきあい。『プレーンソング』が掲載 されたとき、最初に手放しで評価してくれた。【絶版】
jika-b.jpg 猫に時間の流れる
新潮文庫。97年8月刊。解説、岡田敦子。岡田さんはピアニストで、作編曲もする人だったと思う。「週刊文春」の『季節の記憶』の書評がとてもよかったの で解説を依頼した。【絶版】
iki-b.jpg この人の閾(いき)
新潮文庫。98年8月刊。解説、大貫妙子。私の小説の読者の傾向を入力すると(私のアタマに)、大貫さんは私の読者であってもいいはずという答えが出てき た。実際には大貫さんは読んでいなかったけれど、読んで快諾してしれた。
kioku-b.jpg 季節の記憶
中公文庫。99年9月刊。解説、養老孟司。養老さんとは面識がないが、じつは私の高校の20年ぐらい上の先輩。ここまで一貫して私は解説を文芸評論家に頼 んでいない。
song-b.jpg プレーンソング
中公文庫。00年5月刊。解説、四方田犬彦。『プレーンソング』は批評しにくい。四方田さんの『星とともに走る』という「ガロ」に連載した日記の中の褒め 言葉が非常に見事だったので、お願いした。
草の上の朝食
中公文庫。00年11月刊。解説、石川忠司。ついに文芸評論家の登場となったが、彼は単行本の時点(93年)で、きっちりとこれを評価してみせた。あのと き私と妻は「はじめてピントが合った批評だ」と喜んだ。
残響  創作ノートへ
中公文庫。01年11月刊。単行本時にあった「あとがき」を削除した。理由は、作者の誘導になるから。石川忠司の解説にも作者として満足しているし。表紙 の写真は前回につづいて、井村宏次(『アウトブリード』235ページ参照のこと)。夕焼けでなく、朝焼けです。

もうひとつの季節
中公文庫。02年4月刊。解説、ドナルド・キーン。キーン氏はクイちゃんが大好きで、ひたすら好々爺の文章に見えるかもしれないが、〈ある〉には〈ない〉 が含まれるという西洋形而上学の思考にきちんと貫かれている。新聞連載時の挿画をすべて収録した。

猫に時間の流れる
中公文庫。03年3月刊。解説マンガ、大島弓子。新潮文庫で絶版になって(なんでだろう)、中公文庫に移動。文庫のあとがきにも書いたが、私にはいまやこ の本は、「チャーちゃんの本」になっている。だから表紙はやっぱりチャーちゃんの写真。