枡野浩一の短歌教室:第1回 全(その1〜2)



その1


[1] どうぞよろしくお願いします。
投稿者:枡野浩一 

これから皆さんの作品を拝見して、
あれこれアドバイスしていきます。

一応、
皆さんの作品はあらかじめまとめて見せてもらったんだけど、
うーん……。
正直、
「何を表現したいのかよくわからない作品」
「よくわかるけどつまらない作品」
が多いかなあ……。

たとえば俵万智『サラダ記念日』は、
私が18歳の頃にブームになったんだけど、
当時は、
「うまい!」「おもしろい!」「自分には真似できない!」
という感想を持ちました。

あれから時が流れ、
『サラダ記念日』をふまえたいろんな短歌が出てきて、
枡野浩一もデビューし、
加藤千恵や佐藤真由美まで出てきた今、
『サラダ記念日』の歌を
当時と同じようにおもしろがるのは、
無理だと思う。

現代語のみでつくられた短歌、
というのを私は追求していて、
そういう短歌をたくさん読んできました。
投稿作品も辟易するほど目にしました。

そんな私が「その短歌はつまらない」と思った時、
その思いには、
「もう見覚えがあるよ……」
といったニュアンスが含まれています。

たとえ枡野浩一の短歌に匹敵する
完成度の短歌をだれかがつくったとしても、
そんなのは枡野浩一が昔つくったものと
似てるってことだから、
つまらない。

その先の歌が見たいのです。

というわけで、
のっけから、
志は高く……。
どうぞよろしくお願いします。
 
 

[2] 自己紹介
投稿者:奥田与利子 

函館市在住、24歳、奥田与利子です。
団体職員してます。
大学では日本語学を専攻してました。
ちなみに卒論では「人」「者」「人間」について
その用法を比較してました。
日常生活にはほとんど役に立たないおもろい研究です。

           *

枡野さんの短歌は「ますの。」から。
だから、結構最近です。
出会ってから一週間くらいのうちに、
本屋を回って他の歌集も手に入れました。

           *

「私の短歌って無責任だなぁ」と思うようになりました。
自分の世界の中で、読む人なんか関係なくつくって、
いざ見てもらうときには読み手にすごく頼っている。
「伝えたい」とか「わかってほしい」っていう苦労とか
努力は放棄している。
これは日常生活でも言えるかもしれないです。

          ***

短歌をつくるようになったのは4年前。
その頃は、俵万智さんがお手本でした。
日本語、ことば好きの延長でこれまでやってきました。
恥ずかしながら処女作です。

●太陽の光をすべて独り占め輝く波を掴みに走る

あぁ、なんだかさっぱりわからないですね。
この頃から上達したのかさえわからない。
でもいいんです。努力も苦労もしてこなかったから。
これからです。伸びまっせ。

枡野さん、みなさん、よろしくお願い致します。
 
 

[3]あれ、もうはじまってるんですか?これ? 
投稿者:丹生谷歩美 

丹生谷歩美(にゅうのやあゆみ)と申します。
カメラ販売店で働いて毎日毎日、
お客さんの電池変えたり、
故障の相談受けたりして暮らしてます。
週6日勤務なので、そこそこ忙しい毎日です。

短歌はあまり、作っているほうではないと思います。
ちょっと嬉しい事があったとき詠むくらいです。

漫画家のさくらももこさんと一日違いの(さくらももこさんは
5月8日生まれ)
明日26才になります。

●学校で情操教育受けました どうぞよろしくおねがいします
 (丹生谷歩美)

      *     *     *

今日も仕事行ってきまーす。
 
 

[4]でわ、
投稿者:吉見マキ 

吉見マキ、仙台在住の19才です。
ちなみに名前は筆名だったりします。
本名とほとんど変わらないのですが、
短歌に対して責任を負う意味で、別な名前にしました。
その名前=短歌、という意味での責任。

現在某大学の一年生です。
一年浪人して入ったため、まわりの若さに押され気味な日々。
情報技術を中心に学んでいます。
でも元は文系だったので、ニセ理系と呼ばれていたり。

短歌は高校二年生のとき、図書館で枡野さんの
「君の鳥は歌を歌える」をジャケ借りしたのがきっかけです。
それ以後枡野さんの著書を読み始め、気づくと自分でも短歌を詠んでいました。

手元にある最古の歌はコチラ。高校二年の時の歌です。

●足元の道を探しているけれど ヒコーキ雲の尾探すみたいで

私の短歌は読者や自分への甘えで成り立っているな、と最近思いました。
誤読の余地のないくらい、強烈な歌を歌えるようになりたいです。

枡野さん、みなさん、どうぞよろしくお願いします。
 
 

[5] 自己紹介
投稿者:勝山聡子 

遅くなってすいません。
自己紹介します。
名前は勝山聡子です。
東京都在住の美大に通う18歳です。
専攻はメディアアート学科ですが、
メディアアートって何!?と今も思っています。

初めて枡野さんの短歌に出会ったのは
中学3年生のときで、図書館で
「ドレミふぁんくしょんドロップ」と
「てのりくじら」を読みました。
最初は短歌じゃなくて詩集だと思っていたので
後で短歌だと気付いて
こんな短歌もあるんだ!!とカルチャーショックを受けました。
それまで、私は詩を書いていたのですが、
その延長のような感じで
短歌も詠むようになりました。

今までだれにも自作の短歌を見せたことがなかったので
自分のためだけの作品ばかりだったと反省しています。
他の人にも伝わる短歌を
作れるようになりたいと思います。
それでは、枡野さん、みなさんよろしくお願いします。
 
 

[6] 昨日は
投稿者:丹生谷歩美 

英会話教室がおやすみで、
家に帰ってから自習しました。

●ジョージアに愛の告白されるとき細ゴシックの字幕見えてた
(丹生谷歩美)
 
 

[7]字幕
投稿者:枡野浩一 

●ジョージアに愛の告白されるとき細ゴシックの字幕見えてた
(丹生谷歩美)

字幕って、
細ゴシックじゃなくて独特の手書き文字じゃない?
最近はゴシックのもあるけど……。

この歌は気分はわかるけど、
シチュエーションがわかりにくい。
どういうことを歌いたかったのか、
普通の文章で説明してみて。
 
 

[8]1ヶ月ぶりに、
投稿者:勝山聡子 

実家に帰っています。
今、私の心はどちらかというと幸せ寄りです。
こういう時ってインパクトのある言葉が浮かびません。
困った。
そして、枡野さんの短歌より先にあるものがどんな形をしているのか
私にはまだ見えません。
困った。
というか、枡野さんみたいな短歌が作りたいと思ってたんです。
困った。

・・・でも、とりあえず、書きます。

●天国へ行って飛び降り自殺してどこまで落ちるか試してるとこ
(勝山聡子)
 
 

[9]……うーん、
枡野浩一

●天国へ行って飛び降り自殺してどこまで落ちるか試してるとこ
(勝山聡子)

気持ちはわかるけど、
ひとりよがりかなあ。
「今、この世で生きているということは、
天国では死んでいるということだ」
みたいなイメージなの?

「枡野さんみたいな短歌が作りたい」
というのは、
正直あんまり嬉しくない考えです。

というのは、
もう枡野浩一がいるのだから、
新人は、
そこからスタートが切れるのだから、
せめて加藤千恵くらい図々しく
颯爽と走ってくれないと、
私がいろいろやってきた意味がないと感じて、
がっくりしてしまうのです。

あと、
私は俵万智にふれた時も、
「あ、自分にはとても真似できない……」
と思ったのです。
そう思うことができるほど、
俵万智の功績を見抜く目があったのだと思う。
そして、だからこそ、
そこから一歩踏み出すことができたと自負しています。

たまたま、
縁があって今、
作品を添削する/添削される
という場に集っているのだから、
あんまり根本的なことに躓いてても仕方ないけど、
心のどこかでは、
気にしていてください。私の言ってること。

そういえば加藤千恵処女短歌集『ハッピーアイスクリーム』が
中公文庫になったんです。
枡野浩一プロデュース。谷川俊太郎推薦。
買って。
 
 

[10]自分らしさ
投稿者:勝山聡子 

●天国へ行って飛び降り自殺してどこまで落ちるか試してるとこ
(勝山聡子)

この短歌は、
わざわざ一番高いとこに行って飛んでみたら
ずいぶん長い間落ち続けられるだろうというイメージです。
単純に。

私は、お手本なしでがんばらなければいけないのですね。
自分らしさをもっと出さないといけないのですね。
努力します。

●返却し忘れた雪の降る夢を毎晩見ながら夏が近づく
(勝山聡子)
 
 

[11] お手本なしで
投稿者:枡野浩一 

お手本なしでがんばるのではなく、
前例は軽々とこえていてほしいのです。

それは枡野浩一が枡野浩一をこえていくことよりは
たやすいことだと思う。
もともとちがう人間なのだから。

抽象的な話をしていても仕方ないので、
具体的な歌に即して話しましょう。

〈ずいぶん長い間落ち続けられるだろうというイメージ〉は、
その歌からは伝わってきません。
そもそも短歌にするには向かない題材かもしれない。
短歌にすることで最も魅力的に見えることだけを
短歌にしてください。
エッセイにしたほうがいいことは、
エッセイにしたほうがいいです。

なんというか、歌おうとしていることの中身に、
そもそも魅力を感じない場合、
「てにをは」をいじっても仕方ない気がしてしまうのですが、
皆さんがそれを本気で表現したいのだったら、
私に何を言われようと、
改作案を提示してみてくださいね。
 
 

[12]かんたん短歌ってなんて難しいんだろう
投稿者:丹生谷歩美

うーん、道のりは長そうだなぁ・・。

ジョージアに対して、
この人が英語喋ってるから一緒に遊んでるけど、
この性格で日本人だったら友達にはなってないだろうなーと感じていました。
お互いに絶対に気持ちを分かり合ってないのに、
アイワナビーウイズユーと言われても、
まるで今まで見た映画の一場面を見てるみたいだなー、
日本語の字幕をつけるとしたら
「はなれたくない」だろうなと思うだけでした。

こんな人間関係良くないよね・・。

●「この人となんで友達なんだろう」重症なのでもうやめました
(丹生谷歩美)

私が見るDVDの字幕は、ゴシック体が多いです。
英語の勉強のときは、音声も字幕も英語にしてます。
それでもあまり聞き取れないけど・・。
 
 

[13] 「枡野浩一みたいな短歌」
投稿者:枡野浩一 

「枡野浩一みたいな短歌」というレベルでも、
書き手に個性があれば、
おもしろい短歌になると思っています。

たとえば私がプロデュースした短歌集『プライベート』
(発行=マーブルトロン、発売=中央公論新社)が評判で、
連載が続々とスタートしている佐藤真由美の短歌は、
表現技術的には枡野の作風とかなりニアミスしてるけど、
本人のキャラクターが強いから、
結果としてちっとも枡野っぽくない。でしょ?

丹生谷歩美さんのジョージアの歌は、
そのような気持ちを表現したいなら、
もっと全然別の切り口が必要でしょう。
何度も改作を試みてみて。

●「この人となんで友達なんだろう」重症なのでもうやめました (丹生谷歩美)

という歌になると、
これまたあなたの伝えたいことの核から
遠ざかってない?

●日本人同士だったら友達じゃないって思うジョージアといる

……くらいの、
シンプルな捉え方からスタートして、
少しずつ核心に迫っていくのがいいと思います。

●日本語の字幕が見えた気がしたわ ジョージアからの遠い告白

……とか、そんな感じ?
 
 

[14] 幸せなときって、
投稿者:吉見マキ 

なんだか半端な歌しかできなくて。
つらかったり、追い込まれてるときのほうが
私は切羽詰って歌ができます。
苦しくて、行き場の無い気持ちが短歌にぶつかる感じ。
というわけで。

●まばたきをする シャッターを切る 君の今をすべてを焼き付けておく
●鳴り続く君だけの音を無視できるほどに強くも弱くもないし
●ときどきは 思い出したり 悲しんだフリしてみたり 笑ってみたり
●あの音が鳴ることもないケイタイをミネストローネの海へ落として
(吉見マキ)
 
 

[15] 吉見マキさんは、
投稿者:枡野浩一 

うーん、
もっと数撃ってみて……。

●まばたきをする シャッターを切る 君の今をすべてを焼き付けておく
(吉見マキ)

……これは、
1 まばたきをする
2 シャッターを切る
3 君の今をすべてを焼き付けておく
の123が同列に並んでるだけでしょ?
言葉を積み重ねても、それが積み重ねになってない。

●ときどきは 思い出したり 悲しんだフリしてみたり 笑ってみたり

……これも同じ。
1 思い出したり
2 悲しんだフリしてみたり
3 笑ってみたり
ね。同じレベルの123が並んでるだけでしょ?

緊張感がない、というか。

ところで、
「返却し忘れた雪」
って、
どういうイメージなの、勝山聡子さん。
 
 

[16] 「返却し忘れた雪」っていうのは・・・
投稿者:勝山聡子

説明しないほうがいい気もするんですが・・・
冷凍庫の中で保存されている雪のイメージでした。
カチカチになっちゃって、なんかかわいそうなやつ。
自然の中に返し忘れているという。
わかりづらいですね。
で、その雪がもう一度空から降ってくる夢を見ては
その頃を思い出してるっていう歌だったんです。

でも、別にそういう風に伝わらなくても
いいかなとは思ってたんですが、
これも短歌むきの題材じゃないんですかね。

つぎのは、短歌でいいと思うんですが。

●心臓があなたに会うと痛くなる新種の病気に空気感染?
(勝山聡子)
 
 

[17] 「別にそういう風に伝わらなくてもいいかな」
投稿者:枡野浩一 

「別にそういう風に伝わらなくてもいいかな」
って、
曖昧な短歌をつくる人は、
みんな思ってるのかな……。

私は常に、
「こういうふうに伝わってほしい」
という、
明確な輪郭を伝えるべく言葉を紡いでいます。
でも結局、
そのとおりには絶対伝わらないの。
それでも明確な輪郭を伝えようとするのです。

最初から
「別にそういう風に伝わらなくてもいいかな」
って書いてたら、
そりゃあ伝わらないでしょう。

読者による「善意の誤読」を期待するのはやめましょう。

あなた自身がよくわかってないイメージを、
読者が勝手に上手にふくらましてくれたとしても、
それはあなたの作品が「読まれている」のとは
ちがうと思う。

いわゆる歌壇では、
私のようなスタンスをとらない歌人のほうが
多いかもしれないけど、
ここでは私が短歌の先生なので、
私のやり方をお話します。

●心臓があなたに会うと痛くなる新種の病気に空気感染?
(勝山聡子)

……これは、正直言って、つまらないです。
31文字つかってまで言うことではないと思う。
「あなたに会うと心臓が痛くなる」としか言ってないでしょ。
それを「新種の病気」なんて勿体ぶって表現するのは、
かまととです!
 
 

[18]意識してたつもりでも、
投稿者:吉見マキ

同じレベルで言葉をいじってただけだったんですね……。
そりゃあ、数撃っても当たるわけがないや……。

●始めから終わりばかりを気にしてた君の明日になりたかったのに
●あえて今 あなたの言葉で言ってあげる「君は私の悪い見本だ」
(吉見マキ)

こちらは改作。
●たとえあと少しの未来に紛れても君の全てをすくってあげる
(吉見マキ)

改作前は「まばたきをする シャッターを〜」でした。
言いたいことは同じなんですけども……。
変わり過ぎかもしれません。

●君があと少しの未来に紛れてもこの手で全てをすくってあげる
(吉見マキ)

う〜ん……。
やたら「君」ばかり出てくる私の短歌。
お恥ずかしや……。

さらに改作。
●始めから終わりばかりを気にしてた君の明日になりたかったのに

「初め」のほうがいいかもしれません。
「関係のはじめ→始め」のつもりだったのですけど
誤読されやすいかな、と思って。
「二人の時間のはじめ→初め」で。
でも「はじめ」のほうがいいのかなぁ……。
 
 

[19] きょうは、
投稿者:枡野浩一 

古本の整理をしました。

たまっていた雑誌をまとめて
深夜やってる古本屋に持っていったら
1600円になったので、
そのお金で
フロア!っていうカフェの
チキンサンドを食べながら、
リリー・フランキーの小説を読んだ。

とっちらかっているけれど、
なんか、しみる小説でした。

短歌は、
日本語が正確に書ける人なら(書けない人も多い……)
だれでもつくれるけれど、
心の水圧みたいものが
いっぱいになってる時にうまれたものだけが、
読者の心を打つのではと、
思っています。

それは文章のうまさとは
まったく別のもの。

妻は、
「あんたと口喧嘩すると、
負けちゃうから、
弁護士さんを頼んだの!」
と怒鳴っていたけれど、
口喧嘩で私が勝つのは、
言葉がうまいからではなく、
私の言動のほうが
筋が通っているからだと、
とても伝えたいけれど、
妻と私のあいだには弁護士さんたちが横たわっていて、
もう伝えられません。

フロア!では、
日本茶を何杯も飲みました。

そんな精神状態の(おセンチな)私には、
どんな歌が届くんだろう。
 
 

[20] 傾向から離れていきたい
投稿者:丹生谷歩美 

何年か前になるけど、
枡野浩一さんの短歌集
「ドレミふぁんくしょんドロップ」(実業之日本社)を
読んだとき印象に残ってた歌は、

●ビクビクと食うな畜生 ゴミ置き場なんかジャンジャン散らかして食え(枡野浩一)

これだったなぁ。
自信を持って言い切ってるなぁと思いました。
「ビクビク」と「ジャンジャン」の音の感じもいーなー。

ジョージアの歌は、改作中です。
他の切り口がつかめないので、
枡野さんの改作案をものすごく参考にさせていただいてます。

短歌じゃないけど、
リリー・フランキーさんの著書「美女と野球」(河出書房新社)
の中の「アミーゴたちと走った日々」を読んで、
もう二度と読みたくない!!と強がってしまうほど、
リリー・フランキーさんのことを好きになってしまいました。
それももとをただせば枡野浩一さんの
「君の鳥は歌を歌える」(マガジンハウス)
を読んだからってことになってしまうんですけど。

●間違えたラブレターなら黒板に貼っておいたと彼に伝えて
 (丹生谷歩美)
 
 

[21] 「間違えたラブレター」って
投稿者:枡野浩一

何をどう間違えたの?
少し解説してください。
 
 

[22] 見えないよー
投稿者:丹生谷歩美 

何をどうって問われたら答えられそうにないです・・・。

必要以上に文章を、
漢字に変換してる手紙もらったとき、
ものすごい腹立たしいし、
悲しい気持ちになるので、
それを表現したかったんです。

●美しくなるために日々二十分 屈辱的なポーズをしてる
(丹生谷歩美)

この歌はわかりやすいと思う。

「ジョージアの歌」改作案。

●ヒアリング上達させるためだけに好きじゃないけどジョージアといる

●日本語の字幕が見えるジョージアの告白なんてただの教材

●話してる言葉は英語なんだけど心の声はよく聞こえてる

写真撮ったとき、
カメラのシャッタースピードが、
あーちょっと遅くなってるなー
そう感じたら、
電池が消耗してるか、
壊れてるのか、
どっか別のボタン押しちゃったのかなーとか、
せめて三方向ぐらいからは考えるけど、
短歌を詠むときそういうことも、
できてないだろうな・・・。
わーん、泣きそう!
 
 

[23] 添削お願いします。
投稿者:奥田与利子 

●使い捨てカイロと同じ位置にある君の右手はそれでいいのか?
 
 

[24] 泣かないで。
投稿者:枡野浩一 

そんなに怖いかしら、あたしって……。
これからはオネエ言葉で話してみるわ。

妻との口喧嘩だって、
いつも最後はあたしが泣いて謝って終わってたのに、
どうして妻に怖がられなくちゃなんないのか、
ちっともわかんないの、あたし。
物理的に行動に制約うけてたのは、あたしのほうなのに。
あたしは妻のこと「あなた」と呼んで、
妻はあたしのこと「あんた」と呼ぶ関係だったのに……。

〈必要以上に文章を、
漢字に変換してる手紙もらったとき、
ものすごい腹立たしいし、
悲しい気持ちになる〉
という、
あなたの短文のほうが短歌より魅力的。
そのままを短歌にすればいいのに。

●美しくなるために日々二十分 屈辱的なポーズをしてる
(丹生谷歩美)

……この歌は、これでいいでしょう。
「日々」はほんとは「毎日」と書きたいところですが、
まあ、許容範囲。

●ヒアリング上達させるためだけに好きじゃないけどジョージアといる
(丹生谷歩美)

……とまで言ってしまっては嘘なのでは?
あとね、
正しくは、
「ヒアリング上達させるためだけに好きになったというわけ
じゃないけどジョージアといる」
と書くべきなのに、
「になったというわけ」を無理に略してるわね。
だから意味が通じにくいのよ。

●日本語の字幕が見えるジョージアの告白なんてただの教材
(丹生谷歩美)

……これも言いすぎてない?
「ただの教材」とまで言ってしまっていいの?

●話してる言葉は英語なんだけど心の声はよく聞こえてる
(丹生谷歩美)

……これは平凡な切り口。
あと、
シチュエーションが全然わかんないわ、これだと。

くじけず、別の角度から書いてみて!

●使い捨てカイロと同じ位置にある君の右手はそれでいいのか?
(奥田与利子)

……この歌は、わるくないと思うわ。
ただ、シチュエーションは説明不足かしら。
つまり、
男の右手が女のからだの大切なところに触れてしまってる、
ってことなの?
このままだと、
自分のからだに自分の手が触れてるのかな、
と読む人もいるわよ。
もうひと工夫!
 

[25] 枡野先生、
投稿者:保坂和志 

オネエ言葉って、
普通の言葉より、ねちねち責めてる感じがするんですけど、
それって、わたしがオカマのオネエ言葉を怖いからでしょうか。

それにしても、みなさん、
先生の言葉遣いがどうであれ、
そんなことに負けずに次々出してください。
打たれ弱いのは、
打たれ弱い自分がかわいいと思っているからなんだよ。
でも、短歌に限らず、
表現の道は、打たれることからしか始まらないだよ。
そういうことに神経が磨耗したあとに、
本当のちゃんとした繊細な感覚が出てくるものなんです。

だから、
どんどん出してください。
 
 

[26]あたしは最近、
投稿者:枡野浩一 

オネエ言葉で話すと安らぐの。

だけど某文庫編集部から解説たのまれて、
オネエ言葉で原稿書いたら没になったのよ!
渾身の原稿だったのに!!

それはね、
没にした女性編集者の中に、
おかまへの偏見があるからだと思うの。

これだけはわかってほしいんだけど、
あたし、
いくら短歌のことボロクソに言ってても、
作者の人格まで否定してるわけじゃないのよ?

この短歌添削の企画、
「添削してほしい」という希望者は20名以上いたの。
その中で選ばれた4名なんだから。

選んだ基準は、
「可能性を感じるかどうか」。

期待してるのよ!
 
 

[27] 行けるところまで
投稿者:吉見マキ 

<表現の道は、打たれることからしか始まらない

<選んだ基準は、
<「可能性を感じるかどうか」。

泣きそうだったけど、
今の自分をやる気立たせるには十分過ぎるぐらいの、二つの言葉。
勘違いでも、空回りでも、やれるとこまでやってみます。

●曖昧を言い訳にしてきた僕の逃げ場はまぶたの中にすらない
(吉見マキ)
 
 

[28] 吉見さんは、
投稿者:枡野浩一 

今までつくった歌で、
友達にほめられたやつとかはないの?
 
 

[29]絶対に言えない!
投稿者:丹生谷歩美 

何冊か「枡野浩一」さんの本を読んでて、、
この人は実際に会ったら、
神経質でねちねちした性格じゃないのかなー
って予想してたの。
近頃、掲示板でやりとりするようになって、
どう感じてるかってことは、
絶対に、絶対に言えないわーーーーーーーーっ!!

私、普段の仕事のお休みも、ほとんどないし、
その合い間に短歌を考えるのってすっごく大変。
だけど、この場で添削してもらえるなんて、
めちゃくちゃ運がいい!
ラッキー!
あれ、なんか楽しくなってきちゃった!

●まっピンクの
 カバンを持って
 走ってる
 楽しい方が
 あたしの道だ (加藤千恵)

 今日も仕事だー。
 
 

[30] INトーキョー お久しぶりです・・・
投稿者:勝山聡子 

なんか、いつの間にか枡野さんのキャラが変わってますね。
余談ですが、私、
本物のおかまの友達が欲しいんです。
一緒に遊んだりしたら楽しそうだから。
かわいい子いたら誰か紹介して下さい。 笑

地元で遊びまくってる間に
ここの書き込みもだいぶ増えてしまって、
まだじっくり読んでないのですが
とりあえず、NHKのデジタルふれあい広場に行ってこないと
学校のレポートが書けないので
帰ってきたらまた来ます。

あ、一つ短歌をおいていきます。

●新聞紙丸めて覗いた まだ君が何者なのかは透けて見えない
(勝山聡子)
 
 

[31] 神経質でねちねち!
投稿者:枡野浩一

いるわよねー、そういう人。
短歌なんかやってる人は全員そう。あたし以外。
 

●新聞紙丸めて覗いた まだ君が何者なのかは透けて見えない
(勝山聡子)

……これはねえ、
新聞紙を丸めて覗く前から、
そんな道具で「君が何者なのか」は見えっこない、
ってことが読者にも作者にもわかりきってるから、
共感するのは難しいわねー。

少々さわやかにコメントしてみたわ。

ようやく私の本性が伝わってきたところみたいだけど、
そろそろ、この場も、
「しめくくり」を考えなければならない時期に来ているみたい。

これだけは聞いておきたい、
ということはないですか?

この歌だけは仕上げたい、
という歌はないですか?

なんか私、
「つまらない」とか
文句ばっかり言ってて申しわけなかったですが、
世の中の「読者」というやつは、
私なんかよりもっと徹底的に冷淡です。
ねちねちしないかわりに、
あっさりあなたの作品を見捨てて去っていきますよ。

私はたしかに神経質で執念深いのですが、
それは繊細で情熱的と言いかえることも可能だと
自分では思っています。
自分の資質を
プラスの形で活かすことができるよう、
皆さんもぜひ、
自分の資質に自覚的になってください。
 
 

[32] 友達がほめてくれた歌は、
投稿者:吉見マキ 

●初めから終わりばかりを気にしてた君の明日になりたかったのに
●あの音が鳴ることもないケイタイをミネストローネの海へ落として
●カタカナの長い名前の髪の色 君の「いいね」を聞くための色
(吉見マキ)

の三首です。
最後の歌は最近の染髪剤の名前ってやたら長いなぁ……と思って。
オリーブマッドグリーンとか、覚えてもいられない名前なのに。
一番の上の歌は現在の自分のことです。
終わりが怖くて踏み出せない自分がいます。
結局は、私は全てに対しての甘えで成り立たせようとしているのかも……。
 
 

[33] 吉見マキさんの歌。
投稿者:枡野浩一 

●初めから終わりばかりを気にしてた君の明日になりたかったのに
(吉見マキ)

……これは、
甘いフレーズではあるけれども、
後半部分は「あり」だと思う。
この後半を活かすためには、
もっと別の前半が必要。
あなたはいつも前半と後半が同じレベルになってしまう、
というか、
同じレベルのことを何度も念を押して言いすぎていると思う。

●あの音が鳴ることもないケイタイをミネストローネの海へ落として

……これはねえ、
センチメンタルすぎるかなあ。
「ミネストローネの海」なんていう言葉の入った作品、
山田詠美が選考委員してる文学賞に応募してごらん、
罵詈雑言の海に突き落とされるよ。
私の短歌にも、天野慶の短歌にも、
ユーミンの歌にも出てくるけど、
「あの」という言葉が出てきたら、
おセンチになってるな、
と自覚してください。

●カタカナの長い名前の髪の色 君の「いいね」を聞くための色
(吉見マキ)

……これも前半と後半が近すぎるというか……。
書き方の工夫の問題かなあ。
染髪剤の名前の長さを表現したいなら、
具体的に、その名前を出したほうがいいかもよ。
あと、
サラダ記念日の時代じゃないんだから、
君の「いいね」は期待しないほうがいいよ。
 
 

[34] 枡野浩一様と関係者の皆様へ
投稿者:丹生谷歩美 

面識もないまま「神経質でねちねちしてる人」と発言したこと
枡野浩一様と関係者の皆様に一人の書き手として
心よりお詫び申し上げます。

公開掲示板からの参加ということに
もうすこし自覚を持つべきでした。

今晩23時を過ぎてからもう一度お話させてください。
本当に申し訳ありませんでした。
 
 

[35] そこまで、おわびするほどのことじゃないよ。
投稿者:枡野浩一 

自覚してないことを指摘されたわけでもないし、
腹は立てていません。

腹を立てたときは「腹が立ちました」と正直に書きます。

私は事実を指摘されても傷つかないタイプみたい。
私が傷つくのは「嘘をつかれた時」です。
ほんとは似合わない服を着てるのに
「似合う」とか心にもないこと言われると傷つく。
「似合わないよ」と正直に言ってもらって、
さらに似合う服をおしえてもらったりすると感謝感激。

そういう意味では、
裏表のない、
さっぱりした性格かも。ほんと。

それより、
時間が限られてるんだから、
短歌のこと話してください。

「改作してみて」と提案したのに、
なかなか改作が届かないから歯がゆいです。
アドバイスがわかりにくい?

ところで、
今週の私はちょっと慌ただしいのです。

あしたと、しあさって、
自分の卒業した東京都小平市立小平第十五小学校に行って、
6年生の子供たちに短歌をおしえてきます。
NHKの「ようこそ先輩」という番組の撮影なんです。

その合間に別のテレビ番組の
ナレーション録音があり、
連載のしめきりがあり(2本)、
さらに某誌の取材を受ける予定で、
加藤千恵『ハッピーアイスクリーム』(中公文庫)の
文庫版の発売祝いまであるのです。

この掲示板はこまめに見てます。
皆さんも忙しいでしょうが、
ご健闘ください!
 
 

[36]アドバイスは、
投稿者:丹生谷歩美

ものすごくわかりやすいですよ。枡野さんのアドバイスがないと
多分進まない、私。

おもいっきり助詞と文節から入っていくというか、
そればっかり考えるくせがあるみたいです。
具体的な名詞選びも下手だし、
もう全部同じ視点からの短歌ばっかり。
ちょっと皮肉を言う、やつ。
「センス」が何かはわかるけど、
「切り口」の概念がつかめてないですよ。

この企画に入ってからは、
読む人を裏切るパターンのことをよく考えてました。
それがほどほどにできるようになってから、
改作案を提示していこうと思ってました。
じゃないと企画の進行具合に追いつかないかなとか、
こだわってたのはこっちです。
あと(余計なことばっかりはなしてるけど)
枡野さんが欲しいのは何かなとか。これが全体の演出かなとか。
 
 

[37] っいぃぃぃぃぃぃぃ!(驚くときの口癖)
投稿者:奥田与利子 

そっかぁ。あたりまえだけど、終わりがあるんですよね。
引越ししてる場合じゃなかった……。
私、結構忙しい気でいたんですけど、枡野さんはもっと
忙しい中添削してくださっているんですよね。
感謝の短歌目白押しとかしたいなぁ(願望)
なんて、終わりが見えてきたから言えるのかな?

「使い捨てカイロ〜」はどうしたら場面がわかるか、
もう少しアドバイスがほしいです。
こんな要求もアリですか?
それから、ついでにもう一首お願いします。

●再会は「あっ」と言う間の三時間「あっ」で三年を語りつくした

あとおまけの短歌。
こういうどうでもいいのは楽にできるんですけどね。

●プーンという音を合図に果し合い狙い狙われている蚊と私
 
 

[38] ジョージアの歌 進行具合
投稿者:丹生谷歩美

●ジョージアのことは好きではないけれど英語のためにいっしょにいるわ

●話してる言葉はちがう私たちだけど兄弟みたいな感じ

●話してる言葉は英語なんだけど京子ちゃんより気持ちはわかる

●ジョージアとエッチするときオーイエって言ってる自分めちゃくちゃキモい
(丹生谷歩美)

ここらへんから、砕いていこうと思ってました。
わかってんだよ、もっと視点を引いていかないと
角度が変わらない。けど、それは時間がかかりそう。

     *   *   *

●内側に入りすぎてた私たち 離れることもできずに泣いた
 (丹生谷歩美)

伝えたいことというか、自分の考えの基本になっているのは
この歌だけど、出すほどのものではないし、
自分だけが知ってればいい歌と思う。

   *        *         * 
    
●「後悔をしたら心が痛すぎて、打撲しそう」軽く言えてる

もうちょっと短歌出させてください。
 
 

[39] 奥田与利子さんの歌、
投稿者:枡野浩一 

●再会は「あっ」と言う間の三時間「あっ」で三年を語りつくした

……これはねえ、
「あっという間の」
という言葉は手垢のついた慣用句でしょう?
それを一部「 」でくくって強調しても、
手垢は落ちないと思うの。
そもそも、
〈「あっ」で三年を語りつくした〉という実感は、
作者の中にあるだけで、
この慣用句をもじった書き方では読者には共有されないと思う。
「三」という数字の繰り返し、
そして「あっ」の繰り返し、
いずれも人工的な感じがして、
あまり効果的ではないです。

●プーンという音を合図に果し合い狙い狙われている蚊と私

……うーん。
たあいのないことを本気で真剣に伝えたいという気迫があれば、
もっと面白くなると思う。
「たあいのないことだけど」という遠慮が作者にあると、
読者も
「……で?」
という気持ちで読んでしまうでしょう。

「使い捨てカイロ〜」の改作は、
もう少し自力で考えてみて。
ヒントは、
「一人称や二人称を加えること」。
 
 

[40] 丹生谷歩美さんは、
投稿者:枡野浩一 

もうひと息!
そういう迷い方でいいと思う。
 
 

[41] 自己分析
投稿者:吉見マキ 

自分の持ってる言葉や位置に
こだわりすぎてるから角度が変わらない。
同じ位置で同じことしか言おうとしていない。
だから同じレベルのことの繰り返しで終わるのかも。
歩美さんの言ってる「視点を引いていく」ということ。
私には足りないのかなと。
同じ物事を捉えるにしても、もっと広く見ていかないと
ただの繰り返し、思い込みで終わっちゃう。

「あり」な後半を生かすための改作案

●糸を切るはさみで髪を切り落とす君の明日になりたかったのに

●シャーペンの芯でわたしをえぐってく君の明日になりたかったのに

輪郭ぼやけすぎかな……。
漠然といろんなことを込めようとしすぎてるから
大衆的過ぎる言葉だったり、逆に曖昧すぎたり。
もっと絞り込まなきゃいけないんでしょうか、やっぱり。

●「ずるくってごめん」と吐かせて曖昧に笑って許すわたしがずるい

おセンチに……なってますね、現在の自分。
だからどうしても美化しちゃう。夢見ちゃう、そこで終わっちゃう。
それがいけないんじゃん……ちょっと頭から離そう……。
染髪剤はもう少し時間を。
髪も染めていない自分が歌う歌じゃないかもと思い始めてます。
 
 

[42] 皆さん、仕切りなおしです!
投稿者:枡野浩一 

この添削指導のやりとりを
保坂和志さんのメールマガジンで公開する日、
少し先に延ばしていただくことにしました。

今までのログを読み返してみると、
きのう・きょうあたりから、
ようやっとエンジンがかかってきた感じがします。
このまま公開しても、
皆さんにとっても私にとっても「つまらない」結果に
なってしまう気がしてきたので、
初心にかえって、
ここからスタートするくらいの気持ちで、
あと数日間、
格闘してみましょう。

目安はあと十日くらいかな……。
話の流れ次第では、
もっと早く切り上げるかもしれないし、
もう少し長く続けるかもしれません。

それで、
これからは、
なるべく「改作」に集中してみてください。
ひとつの短歌の輪郭が
くっきりしていく過程……を、
記録に残せたらいいな、
と思っています。
 
 

[43]歌いたい!(ジョージアの歌 改作案)
投稿者:丹生谷歩美 

歌いたい!歌いたいんだ!
真剣に自分の歌を歌いたいんだ!!

●ジョージアとケンカをしたい 英語とか日本語とかは関係なしで
(丹生谷歩美)

●レイチェルと私 言葉は違うけどきつねうどんを分け合う仲よ
(丹生谷歩美)

●ジョージアと話してるときいつも見えている字幕は「こんな感じ」だ 
(丹生谷歩美)

つなぎたい!つなぎたいって叫びたい!
叫びたいって歌いたいんだ!!
 
 

[44] レッツ・改作!
投稿者:吉見マキ 

「ミネストローネ」を改作
●今日もまた鳴り続いてる着信音 耳にまぶたがあればよかった
(吉見マキ)

●「もうかけてこないで」なんて気力も無い 笑ってうなずく愛情も無い
(吉見マキ)

***

「曖昧を言い訳にしてきた僕の〜」の改作
●曖昧に甘え続けた僕らにはまぶたの裏も冷たい住処
(吉見マキ)

四番目の歌は後半が弱い感じが。
五番目は最後の一言がどうも気取りすぎていて……。
うーん、もっと迷ってみます。

友達に「自分用の歌」と言われた歌がいくつかありました。
そのときの感情を詠んでいるのは判るけれど、
共感をしたり納得できるものではない。自分用に詠んだ歌、と。
的確な表現にびっくり。
読者がきっと私についてきてくれる、という
大いなる甘えを新たに発見しました。
そーこーだー。
 
 

[45] 授業中に考えた。
投稿者:勝山聡子 

●新聞紙丸めて覗いた まだ君が何者なのかが透けて見えない
(勝山聡子)

を改作中。
これは、あんまり変わってないけど・・・

●履歴書を丸めて覗いた まだ君が何者なのかは透けて見えない
(勝山聡子)

もう一つ。

●いろいろな電波を君にあててみた 分析結果は100万年後に
(勝山聡子)

今度は変わり過ぎですか?
改作ってこんな感じでいいのでしょうか・・・
不安。
 
 

[46] ジョージア。
投稿者:枡野浩一 
  
●ジョージアとケンカをしたい 英語とか日本語とかは関係なしで
(丹生谷歩美)

……これは意味は明瞭だけど、
味わいの点で今ひとつ。
方向としては、迷い方は合ってると思います。

●レイチェルと私 言葉は違うけどきつねうどんを分け合う仲よ
(丹生谷歩美)

……これの「言葉は違うけど」なんだけど、
外国語と日本語で会話してる、
という意味が読者に伝わるかなあ?
「言語はちがうけど」のほうが、
意味は通じるかも。かたくなるけど。
あと、
この作品だと、
あなたがもともと伝えたいことから遠くならない?

●ジョージアと話してるときいつも見えている字幕は「こんな感じ」だ 
(丹生谷歩美)

……「こんな感じ」だけだとわからないかも……。
もう一考を!
あと、
「字幕が脳裏に見える」とか、
もう少し説明的に書かないと不親切かなあ。
外国人と話してるとき、
字幕が頭に浮かぶのって、
そんなに万人が経験することではない気がします。
私は浮かばない。
 
 

[47] 吉見マキさんは、もっと数撃って。
投稿者:枡野浩一 

「ミネストローネ」を改作
●今日もまた鳴り続いてる着信音 耳にまぶたがあればよかった
(吉見マキ)

……「耳にまぶたがあればよかった」はわるくない。
だけど前半は、後半の説明に終わってしまってる。

●「もうかけてこないで」なんて気力も無い 笑ってうなずく愛情も無い
(吉見マキ)

……あなたは、前半と後半を対にするのが好きですね。
対にすると、
短歌の形はまとまったような気になるけど、
じつは何も言えてない、
という場合が多いのです。
ひとつのことを二度言ってるだけ、というか。

「曖昧を言い訳にしてきた僕の〜」の改作
●曖昧に甘え続けた僕らにはまぶたの裏も冷たい住処
(吉見マキ)

……うーん、ちょっと意味不明。
「住処」とか、抽象的すぎない?
 
 

[48]勝山聡子さん、 
投稿者:枡野浩一

●履歴書を丸めて覗いた まだ君が何者なのかは透けて見えない
(勝山聡子)

……これだと、
履歴書を筒状にまるめて……というふうに読めなくて、
くしゃくしゃに丸めて捨てた……と読む人もいるでしょう。
言葉を的確につかう、
ということを心がけてみてください。

●筒状にまるめて覗く履歴書の向こうに透けて見えない 君が

……とか、いろんな書き方が可能なはず。

この歌で主人公がとっている行動は、
古いドラマみたい。
そもそも描こうとしているそのシーンは魅力的なのか、
という点も検討してみてください。

●いろいろな電波を君にあててみた 分析結果は100万年後に  (勝山聡子)

「電波を君にあててみた」は比喩なの?
うーん……、
だとしたら「比喩が、かっこよく、きまってない」。
私、
比喩が嫌いな歌人なので……。
よっぽど、うまくきまったものでないと、
うけつけないのです。
ごめん。
 
 

[49]改(?)作中 
投稿者:奥田与利子 

●使い捨てカイロと同じ位置にある君の右手はそれでいいのか?

の改作

●使い捨てカイロと同じ位置だから私は君の右手を疑う

●使い捨てカイロと同じ位置にある君の手 私は使って捨てる?

●使い捨てカイロと同じ位置にいて君の右手は私を彷徨う

●使い捨てカイロの位置の君の手に私は言いたい それでいいのか?

●躊躇えよ! 私の体の使い捨てカイロの位置に手を置くのなら

●疑問なく君は私の使い捨てカイロと同じ位置に手を置く

空砲をいっぱい撃ってる気がします。
やっぱり、何がいいのかわかってないんですよね、わたしってば。
教えてください。何がいいのか、悪いのか。
 
 

[50] 使い捨てカイロの歌。
投稿者:枡野浩一 投稿日

元歌でちょっとよかったところは、
「君の右手はそれでいいのか?」
の言いまわし。

ねえ、
だけど、
よく考えてみて。

「使い捨てカイロと同じ位置」ってだけじゃ、
使い捨てカイロをつかってるのがだれか、
全然わからないでしょ?

もう、
使い捨てカイロは捨てたら?

つまり、
「わたし」「あたし」「あたい」etc...のからだの一部に、
「君」の手がふれてるから、
「それでいいのか?」とつっこみたいんでしょ?

だとしたら、
「わたし」「あたし」「あたい」etc...を明記するとか、
女性のからだにしか存在しないパーツを出すとか、
しないと……。

使い捨てカイロのところがポイントだと思うなら、
もう、
全然ちがう歌にしないと……。
 
 

[51]納得 
投稿者:奥田与利子 

というか、これだけ親切丁寧に教えていただいて、
わからなかったら……。というはなしですね。
ありがとうございます。

なんかすごく窮屈だと思っていたら、
使い捨てカイロに振り回されていたんですね。
使い捨てなのに捨てれなかった。
言いまわしより名詞にこだわってしまう癖がある
と今気付かされました。
すごい発見。って気付いてないのはわたしだけ?

改作案
●ともだちのわたしの女にふれている君の右手はそれでいいのか?
 
 

[52] んー。
投稿者:枡野浩一 

改作案
●ともだちのわたしの女にふれている君の右手はそれでいいのか? 
(奥田与利子)

……前半、
急に具体性がなくなって残念。
もう少し具体的な何かが欲しいところ。

「使い捨てカイロ」のかわりに、
「ホカロン」とか商品名をつかう方法もあります。
 
 

[53] ほんとだ。
投稿者:勝山聡子 

一つ目の短歌、
確かに、違う意味にとれてしまいますね。
気が付かなかった。
あぁ・・・客観的に見るって難しい。

「電波を君にあててみた」は
比喩というか、想像です。
私かなり妄想癖があるらしく・・・
そこから全ての創作が始まるんです。
まぁ、私は比喩も好きなんですけど。
そう言えば枡野さんの短歌に

●「たとえば」とたとえたものが本筋をいっそうわかりにくくしている

っていうのがありましたね。
また授業中に改作考えてみます。
 
 

[54] ジョージアの歌から
投稿者:丹生谷歩美 

●レイチェルと私 言語は違うけどリップクリーム共用してる
(丹生谷歩美)

分け合うものが「きつねうどん」というのは成功してなかったかも。
なんか他に選べたかもしれないなぁ。
この場合は仲のよさを「リップクリーム共用してる」であらわしてるけど、
枡野さんなら「仲のよさ」をどうやってあらわしますか?

●ジョージアと話してるときいつも見えている字幕は「こんな感じ」だ
(丹生谷歩美)

これけっこうわかりやすいと思ったんですけどねぇ。
外国人って「こんな感じ」って思ってる人多いから、
その固定観念のおろかさを歌ってるつもりだったんだけどなぁ。

●日本語の「外国人」という言葉 お願いだからもう消えてくれ
(丹生谷歩美)

ここまできたら、遠いんじゃなくて別の話なのかな・・。
心からの願いはこれだけどね。
ほんと、「外国人」って言葉が
なんであるのかさっぱありわからないなぁ。
英語にそんな単語はないよって、
ジョージアもレイチェルも言ってたのに。
 
 

[55] ごめんなさい、ちょっと弾切れ中……
投稿者:吉見マキ 

「ミネストローネ」改め、「耳にまぶた」の改作

●そしてまた癖になってる長電話 耳にまぶたがあればよかった
(吉見マキ)

これも結局後半の説明に終わってるかな……。
「そしてまた」で逃げてる感じが拭えないです。

「同じレベル」「一つのことを二度言う」
やっと身を持って判ってきた気がします。
自分にくっついてた余計な感覚を自覚してきた、といいますか……。

***

「曖昧を〜」をさらに改作。

●曖昧なままで居続けられないと知ってた僕らは過去さえ痛い
(吉見マキ)

過去が痛いのは当たり前かもしれないですね。
改作前の「まぶたの裏も冷たい住処」というのは、
曖昧な関係を続けられるはずもないって判っていたのに、
その関係に依存し続けてしまってできた歪みに
落ちてしまったから、まぶたの中にある思い出さえも
逃げ場にはなってくれない……という意味でした。
……わかりにくっ!
 
 

[56] つぶやき。
投稿者:丹生谷歩美 

今日はなんとなく加藤千恵さんのハッピーアイスクリーム
(中公文庫)をバックに入れて家を出ました。
いざ読もうとすると、ドキドキしちゃって・・・。

●昼の月 夜の太陽 あたしたち今なら水になれる流れる
(加藤千恵)

なんてすばらしいんだ!!ハッピーアイスクリーム!!(中公文庫)
 
 

[57]私もつぶやいてみようっと。 
投稿者:吉見マキ 

わたしはやっと今日、
ハピアイことハッピーアイスクリームの文庫を買いました。
ピンクのつるつるの表紙がかわいくて、それだけで好き。
もちろん、中はもっと好き。
マーブルブックスの方は結局立ち読みばかりだったので、
手元に置けて凄く嬉しいです。文庫化って素晴らしい。

●鮮やかに見ていたものは夢だった もともとそんな気もしてたけど 
(加藤千恵)

同じ年ってことが悔しいぐらい、好きです。
 
 

[58] 丹生谷歩美さんの歌は、
投稿者:枡野浩一 

一首で完結させるのは難しいのかな……。

「連作」を意識して、
いくつもつくるといいかも。

登場人物を何人か設定し、
いろんな角度から、
日本語と外国語のことを短歌にしていくのです。
できた歌をたくさん並べて、
ひとつのストーリーを読者に感じさせる、
という方法。

「連作」の中の一首としてなら、

●レイチェルと私 言語は違うけどリップクリーム共用してる
(丹生谷歩美)

という歌なんかは、まあオッケーかなあ。
ただし、自分で提案しておいてなんだけど、
「言語」はやっぱり少々かたい。

〈外国人って「こんな感じ」って思ってる人多いから、
その固定観念のおろかさを歌ってるつもりだったんだけどなぁ〉
とのことだけど、
外国人の友達がいない私にもわかるように、
あなたの発見を歌ってみて。

●日本語の「外国人」という言葉 お願いだからもう消えてくれ
(丹生谷歩美)

……これも、
「外人」という言葉より「外国人」という言葉のほうが
いいじゃん。
と思っている私の考えを変えるくらいの言い方で、
あなたの気持ちを表現してみて。
 
 

[59] 吉見マキさんは、
投稿者:枡野浩一 

ごめん、
とにかく数撃ってみて。

「これは」と思う作品が出てきたら、
コメントします。

まだ漠然としすぎてるというか……。
 
 

[60] おはようございます。
投稿者:丹生谷歩美 

んー、「言語」より「言葉」のほうがまだいいかな・・。
もうちょっと他の言い方考えます。

〈「外人」という言葉より「外国人」という言葉のほうが
いいじゃん。
と思っている私の考えを変えるくらいの言い方で、
あなたの気持ちを表現してみて。〉

それは短歌でってこと? 
 
 

[61] 使い捨てカイロの
投稿者:奥田与利子 

商品名って何があったかな?
って考えたんですけど、
・ホカロン
・ホッカイロ
・どんと
・桐灰貼る
くらいで、やっぱりホカロンが一番かわいいという結論。

●ホカロンの位置で私にふれている君の右手はそれでいいのか?
 
 

[62] ジョージアの歌は進む
投稿者:丹生谷歩美 

・・・・連作?

●エイリアンカード持ってるデリックがエイリアンって誰が決めたの?
(丹生谷歩美)

    *      *     *

発見ってこんな感じ?

●ジョージアが「油の多いアメリカの食事はどうか?」 ため息をつく  
(丹生谷歩美)

  *       *       *

じゃあ、気持ちを歌うと、

●「外国」と聞くたびに まだ「外国」があったんだって思い出します
(丹生谷歩美)

    *      *       *
   
 あのー、
●日本人同士だったら友達じゃないって思うジョージアといる

これからものすごく離れて行ってるような気がしますが、
それが核心に近づいてるってことなんでしょうか?
少なくとも、「細ゴシックの字幕が見えた」頃よりは、
素直になれているのかなぁ、私。

連作づくりのの参考にするのなら、どんな本がいいですか?
 
 

[63]間違った?を・・ 
投稿者:丹生谷歩美 

やはり「間違ったラブレター」はおかしな言い方でした。

●間違えたラブレターなら黒板に貼っておいたと彼に伝えて
(丹生谷歩美)
 
これだと宛先を間違えられた人からの発信だなぁ。
ちょっと意味変わるな。
 
 

[64] わたしばっか書いてるけど・・
投稿者:丹生谷歩美 

それでも書きます。
もし連作を作るなら、起承転結の「転」の後半に入れたい歌。

●もし地球上に言葉をひとつだけ残すとしたら「Yes」がいいな
(丹生谷歩美)

オノ・ヨーコとジョンレノンの出会いを知ってる人は意味わかるけど、
この「Yes」私はあなたを肯定しますって意味なのよ、
「Yes」自体が肯定ってことだから、それは伝わるかな?
 
 

[65] 奥田与利子さんの、
投稿者:枡野浩一 

●ホカロンの位置で私にふれている君の右手はそれでいいのか?

……は、かなり完成に近づいたのでは?
「位置で」以外に、いい言葉ない?
 
 

[66] 丹生谷歩美さん、
投稿者:枡野浩一 

そうです、
短歌で私に伝えてほしい、
いろいろなことを。

連作の参考にするなら、
穂村弘「手紙魔まみ」(小学館)か、
千葉聡「微熱体」(短歌研究社)を。
五十嵐きよみ歌集も参考になるかな。
五十嵐さんはホームページやってるから、検索してみて。

で、

●もし地球上に言葉をひとつだけ残すとしたら「Yes」がいいな
(丹生谷歩美)

……は、いい線いってる。それ以外は、再考を!

●日本人同士だったら友達じゃないって思うジョージアといる

……は、枡野の改作案そのままじゃない?(ちがった?)
 
 

[67] ホカロン
投稿者:奥田与利子 

●ホカロンの域で私にふれている君の右手はそれでいいのか?
 
 

[68] それだと遠くなった、
投稿者:枡野浩一

奥田与利子さん。
 
 

[69]でをの 
投稿者:奥田与利子 

●ホカロンの位置の私にふれている君の右手はそれでいいのか?

「そんなことではない!」ですか?
 
 

[70] 理科の実験で
投稿者:奥田与利子 

天秤を使うとき、分銅とそれより軽い、微妙な重さを量る
正方形のちっちゃい薄い鉄板みたいなのありましたよね?
あれを何回もいれかえてヤキモキしてる感じ。
あの感じじゃないですか?
って同意を求めるにはわかりにくいか……。

まず、なぜ「位置で」がまずいかをつかんでないです。
まずいんじゃなくて、もっといいのがあるってことですか?
この三文字が無駄に、もしくは惰性で使われているってことですか?
確かに、考えずにつけてる言葉です。

(ヤキモキってオモロイなぁと思いつつ)教えてください!
 
 

[71] 改作で快作を
投稿者:吉見マキ 

作れるようにがむしゃらがむしゃら。

最近私が詠んでいた短歌は、
とどのつまりは結局同じ終着点なことに気づきました。
今一番言いたいことを着実に、
織り込んでいけるようにがんばります。

●一生の覚悟で押した通話ボタン 何も言えずに今日も「おやすみ」
(吉見マキ)

実話です。情けなさすぎて涙も出ない……。

●あまりにも王道すぎて笑えない恋に焦がれて死にたい気分
(吉見マキ)

●そこまでは優しくしないで 曖昧に甘えてたのは私のほうだし
(吉見マキ)

●こんな日はカッコワライを連発でウソもホントも忘れてみせる
(吉見マキ)

●くだらない優しさなんか殴り捨て今から君に手紙を書きます
(吉見マキ)

「耳にまぶた」、どうしても後半を説明する形にしかならなくて……。
言葉にひきずられすぎでしょうか……。
「君の明日になりたかったのに」は、以前書き込んだ

●糸を切るはさみで髪を切り落とす君の明日になりたかったのに
(吉見マキ)

が一番自分の気持ちをストレートに出してます。うーん。
 
 

[72] もう改作じゃないかも
投稿者:勝山聡子

改作しようと思って試行錯誤していて
気が付いたら全然違うものになっていたんです・・・
考えてることは同じなんですけど・・・

「何を考えてるのかわからないけど
なんとなく気になる人がいて
その人の考えてることを知りたいっていう気持ち」
を伝えたいと思っていたら
こうなっていました・・・

●晴れの日も君はどこでも傘をさす 何が降っているのか教えて
(勝山聡子)

う〜ん、よくわかんなくなってきた。
 
 

[73] なんとなく、
投稿者:丹生谷歩美 

勝山さんの「電波を君にあててみた」、
どういうことかわからなくもないけどなぁ・・。
わたしはゴーギャンの絵が好き。あたたかいから。
モネもいいかな・・。

「短歌の巧さ」を目指すばかりで、
それを目指せていたのかもわからないけど、
「伝えたいことを歌う」ことを忘れかけていました。
上手だね、なんて言われたら、
顔を手で覆って逃げ出したくなることも、
忘れていました・・・。
伝えたいことを伝えなきゃ。
言葉の発信者なんだ、伝えなきゃ!

●日本人同士だったら友達じゃないって思うジョージアといる

はい、枡野さんのアドバイスでした。
シンプルなとらえ方から核心に迫っていけば、
そう、書いていただいてたので。
なんせ糸口がまったくつかめなかったから、これがないと・・・
そんな感じです。
 
 

[74] 奥田与利子さん、
投稿者:枡野浩一 

「位置で」は、
わるくはないけど、
でも、
どういうシチュエーションなのか、
読者にはまだ正確に伝わってないと思う。

だって「ホカロンの位置」って、どこなのさ?
胸? 腰? 太股?

たとえば、字余りだし、あまり成功してないけど、

●ホカロンごしに私の腰にふれている君の右手はそれでいいのか?

とかさ。「腰」と「ごし」は駄洒落じゃないよ。
 
 

[75]勝山聡子さん、 
投稿者:枡野浩一

●晴れの日も君はどこでも傘をさす 何が降っているのか教えて
(勝山聡子)

の「傘をさす」も、
比喩?
それとも、
ファンタジーのたぐい?

うーん、ごめん。
どういう状況を伝えたいのか、私にはよく見えない。

「何が降っているのか教えて」とかは
雰囲気あるフレーズだし、
こういう短歌は「あり」なのかもしれないけどさ。

「電波を君にあててみた」り、
「晴れの日」に「どこでも傘をさ」したり、
よくわからん。
妄想というやつ?

私は現実的な人間なので、
ファンタジーのたぐいは苦手なのです。

私の短歌にもあるけどさ、
「てのりくじら」とか
「レターツリー」とか
想像上の動植物が出てくるけどさ。
それはわりと、輪郭がくっきりした妄想でしょ?

何がちがうんだろう、
あなたたちの妄想と。
 
 

[76]ところで、短歌を表記するときは、
投稿者:枡野浩一

●晴れの日も君はどこでも傘をさす 何が降っているのか教えて
(勝山聡子)

●晴れの日も君はどこでも傘をさす何が降っているのか教えて
(勝山聡子)

……の、どちらかにすることをおすすめします。
中途半端なスペースをあけるのはやめましょう。
『ハッピーロンリーウォーリーソング』は
半枡あきになっていますが、
それはデザイナーの意匠です。
拙著『日本ゴロン』(毎日新聞社)参照。
 
 

[77] 太陽になりたい
投稿者:吉見マキ 

●太陽より濃いんだ 僕らの中にある疲れを知らない血潮の赤は
(吉見マキ)

書き込んでるときは、全角スペースを入れてるのですが
どうやら表示で半桝空きになってしまうみたいです。
今まで書き込んだ短歌の半桝空きに見えているところは、
全桝空きのつもりでした。ごめんなさい。

改作のつもりで歌を詠んでいて、
まったく違った形のものになってしまったとしても、
込めたい思いが同じであれば
それも改作だと思ってたのですが、
これって間違いでしょうか?
 
 

[78] 吉見マキさん、
投稿者:枡野浩一 

それも「改作」です。
続けてみて。
 
 

[79]丹生谷歩美から見えた勝山聡子さんの歌
投稿者:丹生谷歩美 

●晴れの日も君はどこでも傘をさす 何が降っているのか教えて
(勝山聡子)

この歌はめちゃわかりやすい。言葉どうりじゃないのかな。
勝山さんは、
〈何を考えてるのかわからないけど
 なんとなく気になる人がいて
 その人の考えてることを知りたい〉
って書いてたでしょ。

「晴れの日もどこでも傘をさす」人に向かって、
現実の日常で勝山さんは、
「新聞紙を丸めて覗い」たり、「電波をあててみ」たり
してるんじゃないの?
妄想じゃなくて、現実的な日常だよ。

これがわかんないなんて、ど・ん・か・ん!!
だから独身に戻っちゃうんだよ・・・・。
ファンタジーって・・・。
それは枡野さんの女の子に対する偏見じゃない?

なんか、小学生のとき先生に、筋違いのことで怒られてるのに、
言葉がでないから言い返せない子を見てる、そんな感じ!

かといって、

●育ちすぎた「てのりくじら」は百円でマクドナルドが買うとの噂
(枡野浩一)

この歌の意味はいまだにわかんないけど。 

※「次回、とんでもない展開に……丹生谷発言に枡野が大激怒!!


その2
[80] すみませんが、
投稿者:丹生谷歩美 

新しい短歌出すのもう少し待って下さい。
週六日のカメラ屋さんも短歌と同じくらい大切なので、
がんばりすぎて体調を崩し、
両方に迷惑がかかるなんてこと避けたいです。
勝手言います。すいません!!
 
 

[81]たしかに私は鈍感だけど、
投稿者:枡野浩一 

まだ独身には戻っていません。
さっさと独身に戻っていたら、ここまで苦しんでないの。
妻でもないあなたにそこまで言われる筋合いはないので、
言葉を撤回してね。

だって私、
〈うーん、ごめん。
どういう状況を伝えたいのか、私にはよく見えない。〉
って、
「ごめん」って謝りながら言ってるんだよ?
怒ってるわけじゃ、
全然ないでしょう?

〈こういう短歌は「あり」なのかもしれないけどさ。〉
とまで言ってるのに……。

このくらいの言い方で、
傷ついてしまうんだったら、
もう短歌なんか、
つくらないほうがいいと思う。
つくってもいいけど、私には読ませないで。

私が話しかけた勝山聡子さんに言われるならまだしも、
当事者でない丹生谷歩美さんに、
そこまで言わたくない……と思います。

撤回し、あやまってください。
あと、
こまかいことをネチネチ言うようですが、
「言葉どうり」ではなく
「言葉どおり」と書くのが正解です。

枡野浩一にはぴんとこないけど、
あなたにとっては「わかる短歌だ」
ということなら、
「私にはわかります、好きな歌です」
とだけ言えば済むことだと思うんですが、
いかがでしょう。

あのね、
「わからない」「つまらない」
って言ってる読者に向かって、
「わかれ!」「面白がれ!」
って言うのは無理なの。

そしてどんな読者も、
枡野浩一より冷淡なの。
「わかってあげたい」なんていう、
優しい気持ちで短歌を読んでくれるのは、
自分でも短歌をつくってるような「短歌仲間」だけなの。

私の添削指導は、
「短歌仲間」以外の人に届く短歌をつくろう、
と目指してやっているのです。

そして、
私も人間だから、
好き嫌いがあるの。

私の「てのりくじら」の歌は、
出版社が金を出して単行本にしてくれたくらい、
「面白い」と言ってくれる人がいたわけだけど、
勝山聡子さんの歌は、
まだそうじゃないから、
私があれこれ言ってるのです。

その勝山聡子さんに助け舟を出したいなら、
きちんと私に届く言葉で、
助け舟を出してください。

私だって、
勝山聡子さん自身が何か上手に説明してくれたら、
この歌のことをもっと評価できるかもしれないでしょ?

と、
ここまで長々言ったことに、
あなたがもしも納得できないということなら、
わるいけどあなたとはもう話したくないので、
この場からは撤退してください、
丹生谷歩美さん。

でも、
あなたが一言あやまってくれたら、
もう忘れます。
だから、
私の書いたこと、
長々としてるけど、
冷静に読み返してみて。
 
 

[82] 勝山聡子さんへのフォロー。
投稿者:枡野浩一 

たとえば今手元に、
盛田志保子歌集「木曜日」
http://www.bookpark.ne.jp/cm/utnh/select.asp
という本があって(著者に贈っていただいた)、
この新鋭歌人の短歌は各方面で絶賛されてるんだけど、
私には半分以上よくわかんないんだよね……。

だから、
「自作を読ませる人をまちがっている」
ということは、
やっぱり、
あると思っていたほうがいいです。

でも、
ここは枡野浩一の場だから、
枡野浩一から見えることだけを話していくしかないの。
そのへんはご了承ください。
 
 

[83] え〜っと・・・
投稿者:勝山聡子 

丹生谷さん、なんかすごくうれしいです。
そこまで言っていただくと
申し訳ないような感じですが、
うれしいです。
私、説明とかするの下手なんで・・・
すいません。
晴れの日でも傘をさしてる人は本当にいるんですが
(毎日じゃないけど)
自分でペイントした傘で
たぶんそれはおしゃれのためなんだろうけど
本当はその人にしか見えない何かが
降っているのかもしれないって考えたんです。
あ、でも現実に変な電波をあてたりはしてないです・・・

枡野さん、
盛田志保子さんの短歌少し見てみました。
面白いのもあったけど
やっぱり私は枡野さんの短歌の方が
好きだなぁ・・・
でも、枡野さんに褒められるように書こうとしたら
その歌から自分らしさが
どんどんなくなってしまう気がしたんですけど・・・
結局、まだ添削をうまく自分の中に取り入れることが
できてないみたいです。
う〜ん、う〜ん、混乱中。
 
 

[84]失礼いたしました。
投稿者:丹生谷歩美

「独身」という言葉を撤回します。
軽率な発言でした。
申し訳ございませんでした。
 
 

[85] 書いていただいたこと、
投稿者:丹生谷歩美 

冷静に読み返しました。
枡野さんや、読んでいる皆さんを不愉快にさせてしまったことを、
深くお詫びします。ごめんなさい。

ただ、
〈その勝山聡子さんに助け舟を出したいなら〉
というのは、私の考えと大幅に差がありましたので、
大粒の涙がこぼれてしまいました。
そんなおこがましい考えは、持っていません。
「丹生谷歩美から見えて」いるものが、枡野さんだけではなく、
みなさんにも少しでもわかってほしかったんです。
ほんとうにその理由で、書いたんです。
この企画のディレクター(というんでしょうか?)の枡野さんを
心から信頼しています。その上での無礼でした。
奥様とのことも、この掲示板で触れられていますので、
「触っていい話題」
とした、私の勝手な判断でした。

〈そしてどんな読者も、
枡野浩一より冷淡なの。〉
ということも、枡野さんが繊細で誰よりもピュアな人だということも、
「日本ゴロン」(毎日新聞社)や、
「君の鳥は歌を歌える」(マガジンハウス)を読み解いて、
わかった上でいままで発言してきたつもりです。
あの発言は、「四人の中ではヒール役」を
精一杯表現したつもりでした。
「添削される側の書き手」を募集していたんだと思ったからです。
そのことが余計な誤解を生み、
皆様に不愉快な思いをさせていたのだったら、本当に申し訳ないです。

枡野さんがさらにフォローされるまでもなく、
言葉を選んで発言されてるなぁ・・・、と、思っていましたよ。
私、もうすこし自分の事が枡野さんをはじめとする皆様に
「読まれて」いると思い上がっていたようです。

〈この歌の意味はいまだにわかんないけど〉失礼な発言ですが、
この言葉で、妄想が違うことがくっきりすると思ったんですけど、
はずしていたんでしょうか?
あと、「短歌のことを書いて」ということなので、
選びながら書いてたんですけど・。弱りました。

しつこいようですが、
本を読んで、枡野浩一さんが神経質かもなぁ、とは思ったけど、
それと同時に、「繊細で情熱的な」ことぐらいは、感じ取っています。
そして、信頼しています。
今、どうしていいかわからないので、また言葉不足かもしれませんが、
説明が必要なことは言ってください。
迷います・・。

長々と書きましたが、説明が必要なことは言ってください。
ほんとに、涙なみだです。
 
 

[86] やっきりもっきり
投稿者:奥田与利子 

で楽しんでまぁす。

●ホカロンをなでて私の芯目指す君の右手はそれでいいのか?

お願いしまぁす★
 
 

[87] 丹生谷歩美さん、
投稿者:枡野浩一 

お気持ちはよくわかりました。

きっと、
じかに会って、
面と向かってのやりとりだったら、
大丈夫なんだよ、
どういう話を出しても。

掲示板は、
距離感が伝わりにくいからね。

じゃあ、
続けましょう。
 
 

[88] 奥田与利子さん、
投稿者:枡野浩一 

少し遠くなってない? もう一案。
 
 

[89] ほかの人も、
投稿者:枡野浩一

●晴れの日も君はどこでも傘をさす 何が降っているのか教えて
(勝山聡子)

……という歌を読んで「わかる、わかる!」と思ったら、
そのことを書いてくださいね。

私だって、
勝山聡子さんが文章で説明してくれれば、
言いたいことくらいはよくわかるんです。
でも、
短歌を読んだ瞬間に、
それが伝わってこない。

内容がわるいんじゃなくて、
「形のせい」かもしれないよ。

●晴れの日もどこでも君は傘をさす 何が降っているのか教えて

というふうに、
「君は」の位置を変えるだけでも
印象がすっきりします。

●晴れの日もどこでも君は傘をさす 降っているのは何か教えて

……と変えれば、
後半のリズムがよくなります。
さらに、

●雨降ってないけど傘をさすんだね 降っているのは何か教えて

とすると、
当事者っぽさが増して、
リアリティも増します。   

短歌は、
そういうふうに仕上げていくんです。

勝山聡子さん、どう?
 
 

[90] 位置で
投稿者:奥田与利子 

に戻っちゃうんですけど、

●ホカロンの位置で私の腰を抱く君の右手はそれでいいのか?

「位置で」と「腰」がかぶってるか……
 
 

[91] それだと、
投稿者:枡野浩一 

「ホカロンの位置で」というフレーズが
宙に浮いて、無意味になってしまう……。
 
 

[92] 関係ないかもしれないけど……
投稿者:奥田与利子 

学生時代(ってそれほど昔じゃないけど)、
どこでも、常にヘルメット(工事用の白いやつ)
をかぶっている人がいて、めがねかけてて、
長い髪をひとつに結んでいる男の人なんですけど、
その人のこと思い出しました。
聡子さんの短歌を読んで。

不思議な人がいるなぁって思ってた。
モノレールや大学構内にどんな危険があるんだろう?
いや、確かに危険がいっぱいな世の中かもしれない。

「傘」と「ヘルメット」だったら、
「傘」の方が愛らしいイメージが湧きますね。
 
 

[93] コトノハ
投稿者:吉見マキ 

短歌に限らず、言葉って凄く難しいですね……。
その言葉の発信者になるんだ、がんばらなければ。

聡子さんの
●晴れの日も君はどこでも傘をさす 何が降っているのか教えて
(勝山聡子)
は、私の中のイメージでは
「どこか他の人とは違っていて、だけどそれが
自分には嫌な違いではない、むしろその人のことを
もっと知りたい。もっと仲良くなりたい」
そう、思っていました。
普通に特殊な人、っていうだけじゃなくて
自分の中で特に特殊な人(すなわち好きな人)と。
考えすぎだったかな……。
だから、私はこの歌好きです。知りたいっていう気持ち。

でも枡野さんの改作の例を見て、なるほど、と。
言葉の順序を変えるだけで印象が大きく変わるっていうことが、
凄くはっきり判りました。
今までも判ったつもりで居たけど、こんなに違うんだなぁと。

ということで、私なりの自分の歌の改作。

●溜息は会話じゃないって知っている? 耳にまぶたがあればよかった (吉見マキ)

●目隠しで椅子取りゲームしてるみたい たった一言言えないために
(吉見マキ)

不調です……。
前半と後半がぶつんと切れたように感じるのは
私だけじゃないですよね……。
 
 

[94] あ、
投稿者:枡野浩一 

●溜息は会話じゃないって知っている? 耳にまぶたがあればよかった (吉見マキ)

……これはこれで完成してるのでは?
「うれしさ」の正反対の気持ちを詠んだ歌だけど
 
 

[95] おぉ!
投稿者:吉見マキ 

コメントいただけて凄く嬉しいです! がんばるぞい!
「込めたい思いが同じなら改作」って
自分で聞いておきながら、全く正反対になってしまいました。
どうしても後半のフレーズを生かしたくて、この形に。
嬉しくてやるせなくて、耳にまぶた
ではなく、
もう嫌で聞きたくなくて、耳にまぶた。
でも今の私は「耳にまぶたが無くてよかった」。
そう思っています。

改作? 変作?
●目隠しで手の鳴るほうへ行っただけ そこには君がいなかっただけ
(吉見マキ)
 
 

[96] うーん、
投稿者:枡野浩一 

●目隠しで手の鳴るほうへ行っただけ そこには君がいなかっただけ
(吉見マキ)

……今度は「だけ」がリフレインされてるけど、
リフレインのある短歌は形になりやすくて安易、
と思っておいたほうがいいかも。

「言いたいことからは遠くなったけど、
形としては面白い短歌」
が生まれてしまった時、
私は没にすることが多いです。
短歌は、形だけ面白くできてしまう、ということが多いの。
それは危険な罠だと思っています。
 
 

[97] 「耳にまぶたがあればよかった」から連想した名歌。
投稿者:枡野浩一 

●遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった
(柳澤真実)
 
 

[98]みなさん、
投稿者:勝山聡子 

いろいろと意見をありがとうございます。
私、変わってる人が好きなんです。

枡野さんの考えてくれた

●雨降ってないけど傘をさすんだね 降っているのは何か教えて

っていうやつのほうがかなり自然で分かりやすいですね。
なるほど・・・
言葉の並びで全然違う・・・
短歌って最初から五七五七七で浮かぶときと
そうじゃないときがあって
そうじゃないときは無理矢理31字にしようとするから
不自然になってしまうんですよね。
もっと言葉の並べ替えが上手になりたい!

で、中身は枡野さんはあんまり受け付けないみたいですが
こういうのもありでいいんでしょうか・・・

そして、答えも作ってみたんですが・・・
これは私の想像だけど。

●あの子はね、広すぎる空が恐いって毎日傘をさし続けてる
(勝山聡子)
 
 

[99] えーと、
投稿者:枡野浩一 

●あの子はね、広すぎる空が恐いって毎日傘をさし続けてる
(勝山聡子)

……これなんだけど、
私だったら、
こういう言いまわしのほうがしっくりきます。

●あの人は広すぎる空が恐いって傘を毎日さし続けてた

……過去形にすることで、
「ほんとにあったことだったんだよ」
って気持ちをこめるの。

●雨降ってないけど傘をさすんだね 降っているのは何か教えて

……は、まだ完成形ではないです。
 

●雨降ってないけど傘をさすんだね あなたへ降っているものは何

……とかね、
もっとチャーミングになるはずなの。
考えてみて。
 
 

[100] なんか
投稿者:奥田与利子 

煮詰まっちゃいました。
私のケースの中には、ちょうどいい正方形のちっちゃい
やつはないみたいな気がしてきました。

私の腰(ホカロン有)にふれている君の右手はそれでいいのか?

電光掲示板で流すならこんな感じだけど……。

●ホカロンごと私の腰を抱いている君の右手はそれでいいのか?
 
 

[101]あ、
投稿者:枡野浩一 

奥田与利子さん、
そのあたりでいいんでは?
ふたつの案、
どちらも「あり」だと思います。

さて。
そろそろ、しめくくりの時期かな。この掲示板。
 
 

[102] おー!!!
投稿者:奥田与利子 

どちらも「あり」ですか。
目で見るなら

●私の腰(ホカロン有)にふれている君の右手はそれでいいのか?

声に出して読むなら

●ホカロンごと私の腰を抱いている君の右手はそれでいいのか?

という気がします。
でも「ふれている」ぐらいがしっくりくるような
気もします。

ちょっと、いや、かなり嬉しいです。
短歌でこんなに考えたの初めてかもしれません。
枡野さん、ありがとうございます!
 
 

[103]遅くなりました。
投稿者:丹生谷歩美

●減っていく消しゴムになったっていい 国境線がまだ残ってる

●ネガティブのネガだってこと忘れずに鮮やかな色焼き付けていた
(丹生谷歩美)

連作を意識すると、
多分後ろのほうにくるんだろうなって歌ばかりでできます。
具体的な行動や出来事がもうちょっと浮かんでくればいいんだろうけど、
まだ底辺にいるような感覚です。

●永遠のライカのシャッター音がまた「つなぐからね」って優しく言った
(丹生谷歩美)

こういうのは「あり」なんでしょうか?
この歌はまだ改作できそうなのにな、
と思いながら出してみました。
ライカのカメラの良さは、名前や古さではなく、
「壊れにくく丈夫で気をつければずっと使い続けられる」
ことにあると思っています。
それを人と人とが「つながっていく」ということに結び付けたいのです。
写真が残っていくってことも踏まえて。

「ジョージアの歌」からだいぶ離れましたが
なんとか一周して帰っていきたいです。
なんかカメラ屋さんらしいこと書いたけど、
これから英会話でレイチェルと話します。
英会話に行った後に、
普段と違う視点の短歌が生まれやすくなるのが不思議です。
 

カメラ屋さんで生まれた歌たち、
●思い出を切って貼ったりはがしたりできるブルーのフリーアルバム 

●だんだんと浮かび上がってくる画像 液体の中ゆらゆらゆれる

●浮いて出てくるまで待ってるしかない35mmを現像してる  
(丹生谷歩美)

「ジョージアの歌」がんばります。
 
 

[104] じゃあ
投稿者:奥田与利子 

しめくくりの時間内で完成させることができるか
わからないですけど、

●少年を持つ男らの妬ましき躊躇うことのないランニング

もっと噛み砕くと、

●ランニングシャツで駆けてくあいつらはうらやましいほど少年だった
 
 

[105] 恐るべし恐るべし
投稿者:吉見マキ 

リフレインと言うリズムに騙されて、
内容が甘いものが多いですね、わたし……。
今更気づきました。
そして、形だけ面白い短歌、これも危険なワナ。
伝えたいことが無くってもできてしまう……。
それじゃ何の意味も無いのに……。

しめくくりに向けて、今までのものをきちんと改作してみます。
間に合うか判りませんけど……。せいいっぱい。

「曖昧に〜」をさらに噛み砕いてみました。
●曖昧を生きられなかったこと自体 わたしの弱さの証明でしょう
(吉見マキ)

「目隠しで〜」を改作!
●目隠しで手の鳴るほうへ行ったけど そこに居たのは君じゃない人
(吉見マキ)

聡子さんの歌も、歩美さんの歌も、与利子さんの歌も、
お世辞とかそんなんじゃなくて、すごく好きです。
視点が色鮮やかで、ハっとさせられるものばかり。
いいなぁ……。
 
 

[106] 考えてみました。
投稿者:勝山聡子 

●雨降ってないけど傘をさすんだね そのうち理由を聞きに行くから   (勝山聡
子)

●雨降ってないんだよ空がきれいだよ君にはどうして傘が必要?
(勝山聡子)

どうでしょうか。

ここももうすぐ本当に終わりなんですね・・・
もっとたくさん書きたいのですが
学校の課題が終わらないんです・・・
あ〜やばい!!
課題は早く終わって欲しい・・・
 
 

[107] 丹生野谷歩美さんの連作の歌たちは、
投稿者:枡野浩一 

まだやっぱり、
散文での説明のほうがチャーミングで、
そのチャーミングさが短歌からは伝わってこない感じ。

でも、
連作だから、
たくさん並べてみて。
 
 

[108] 奥田与利子さんのは、
投稿者:枡野浩一 

噛み砕いてない歌のほうが、わかりやすい。

でも……その気持ちは、
男である私には理解しづらいかなあ。

性差って、仕方ないのかな。
女性の読者に伝われば、それでいいのかな。
女性の読者は、どう読んだ?
 
 

[109] 吉見マキさんは、
投稿者:枡野浩一 

もっと数撃ってみて。
 
 

[110] 勝山聡子さん、
投稿者:枡野浩一

「雨降ってないけど傘をさすんだね」は、
私の考案したフレーズだから、
それをそのままつかったらもう、
あなたの短歌ではないよ。

短歌って、
「何を書くのか」より、
「どう書くのか」のほうが、
重要なんだと思う。

その「どう書くのか」は、
発明のようなものだから、
だれかに先を越されたら、
あきらめるしかないんだと思う。

●雨降ってないけど傘をさすんだね そのうち理由を聞きに行くから
(勝山聡子)
●雨降ってないんだよ空がきれいだよ君にはどうして傘が必要?
(勝山聡子)

……この2案はよくない。
これなら、
一番最初の案のほうがよかったのでは?
冷静に読み返してみて。
 
 

[111] そろそろまとめに入ります。
投稿者:枡野浩一

今のうちに質問とかあったら、どうぞ。
 
 

[112] 帰り道の合間に
投稿者:丹生谷歩美

●スキップで踏んだ地雷で偶然に脚が一本ふっとんだだけ

●核兵器作ってるドミトリーなら三丁目だよ早く行きなよ

●レイチェルが「外国人」って言われたら泣いてないかな?と気になっていた

●浴衣着て行く夏祭り「レイチェルと私」語になる 溶け合っていく  (丹生谷歩
美)

もしかしたら、誰かに長い手紙を書いて、
その中から短歌をひろっていくようなやり方がいいのかもしれないな。
あまのじゃくなところが短歌出てるのかな。
自分の「こうしたらもっといいのに」というところは、
気がつきにくいです。普通文章からとったような歌だと、

●私は「ばかちょんカメラ」と言う人に写真を撮ってほしくないです  (丹生谷歩
美)

……あと、連作の最後にもってきたい歌がこのふたつくらいです、

●キスしてる時は気持ちが流れ出てばれてるみたい はずかしいよね  

●日本語を使う男と抱き合ってキスばかりして朝を迎えた
(丹生谷歩美)

入れられるかなという歌、

●何気なく過ごす あなたと電気屋の炊飯ジャーの前で集合

●十二時のままで時計が止まってた彼氏の部屋でジョリジョリされた  (丹生谷歩
美)

「ジョリジョリ」はひげをジョリジョリされた意味です。
もうちょっと、ジョージアとレイチェルとデリックを活動させたいです。
 
 

[113] 枡野さんは
投稿者:奥田与利子 

もしかして、少年タイプかもしれません。

なぜなら、この歌を見た当時65歳の男性詩人は、
よくわかっているようで、「コレ、好きだ」
って言ってたから。
70歳の男性歌人も結構気に入ってた。

24歳の女性もね。
でも、この子とは感覚的に似ているので、
あまり参考にはならないかもしれない。

<私たちの説>
・「小学2年生顔」の男性は世の中に結構いる。
・小学2年生は一番少年らしい。
・男がときどき見せる少年にやられる(惚れる)女性は多い。
・女が少女を気取るのは計算だが、男の少年は無自覚らしい。

枡野さんも無自覚少年かもしれませんね。

といったところで、ここで枡野さんが理解できないっていう
短歌を出してきても仕方ないですよね。
 
 

[114] 男の子にしか、
投稿者:丹生谷歩美

持ち得ない感覚みたいなのはあると思う。

●お昼休み口から飲んだ牛乳を目から出してる男子が好きよ 
(柳澤真実)

ここに出てくる男子と同じ感じなのかな……。
奥田さんが好きな人はこんな人なのかな、
こんな恋をしてるのかな、と思って、
ポッと顔が赤らんでしまいました。
 
 

[115]いよいよ 
投稿者:吉見マキ 

ラストスパートですね。
数撃ちますよ! 狙い撃ちますよ!
というわけで、今日もさっそく。

●私より20cm上にある君だけの空は何色ですか?
(吉見マキ)

●見えないと不安? 居ないと心細い? そんな前戯はとうの昔に
(吉見マキ)

●こんな時さめざめ泣けたらいいのにね 同情だっていい 行かないで (吉見マキ)

後半違いでこんな形になります。

●こんな時さめざめ泣けたらいいのにね 可愛げのないあたしでごめん (吉見マキ)

「曖昧に〜」改作は続く……
●今すぐに答えを出さなきゃいられない 曖昧なんて優しさじゃない
(吉見マキ)

いつだって、無邪気になれるのって、
男の人の特権だよなって思います。
ふと少年のように笑ってるところを見ると、
胸キュンしちゃいますし、私も。
 
 

[116] うーん、
投稿者:枡野浩一

●お昼休み口から飲んだ牛乳を目から出してる男子が好きよ 
(柳澤真実)

という歌は、よくわかるし、私にも面白いです。
「口から飲んだ牛乳を目から出してる男子」のことを、
私自身はちっとも「好き」じゃない。
でも、
そういう男子のことを好きだと言う主人公の気持ちが
伝わってくる気がします。

それに対して、
奥田与利子さんのその歌は、
「少年」性の魅力も私にはわからないし、
その「少年」性にひかれる主人公の気持ちも
よくわからない。
なんだか理屈で説明されてるみたいで……。
「妬ましき」とか「うらやましい」とか、
ナマの言葉をそのまま出してるところが傷じゃないかな。

それはやっぱり、
言い方の問題なんだと思います。
2パターンつくってしまって、
そのどちらか一方を「完成作」として
あなたが選べないのは、
まだ完成してないからだと思うよ。

もともと似た感覚を持った人同士で、
「わかるわかる!」「そうだよねー」
って頷き合うのが目的なら、
短歌なんかつくらなくても、
おしゃべりで説明すれば済むことだと思う。
 
 

[117] 吉見マキさんはまだまだ数撃ってみて。
投稿者:枡野浩一 

●見えないと不安? 居ないと心細い? そんな前戯はとうの昔に 
(吉見マキ)

……「とうの昔に」のあとに省略されてる言葉が多すぎない?

あと、
「曖昧なんて優しさじゃない」
という主張をストレートに詠んだ歌が加藤千恵にあります。
探して読んでみて。
 
 

[118]丹生谷歩美さんの短歌は、 
投稿者:枡野浩一

全般的に、
作者だけがわかっている、
という感じかなあ……。
説明を省いてしまっているというか。

●スキップで踏んだ地雷で偶然に脚が一本ふっとんだだけ
……これは現実? 比喩?
現実だとしたら、
軽々しくこういう書き方で書いたら駄目な気がする。
比喩だとしたら、
現実に地雷で脚がふっとんだ人がこの短歌を読んだときの
気持ちを考えてみてほしい。

●核兵器作ってるドミトリーなら三丁目だよ早く行きなよ
……うーん???

●レイチェルが「外国人」って言われたら泣いてないかな?と気になっていた
……どうして「外国人」て言われたら泣くの?
そんなにひどい言葉なの?
その言葉がいかに無神経な言葉なのか……、
たくさんの言葉で説明する必要がありそう。
だとしたら短歌には向かない題材かも。
論文かエッセイにしないと!

●浴衣着て行く夏祭り「レイチェルと私」語になる 溶け合っていく  (丹生谷歩
美)
……「レイチェルと私」語って何。

●私は「ばかちょんカメラ」と言う人に写真を撮ってほしくないです  (丹生谷歩
美)
……「ばかちょんカメラ」が差別語だと知らない人も多いです。
そこは説明省いたら駄目だと思う。

●キスしてる時は気持ちが流れ出てばれてるみたい はずかしいよね
……前半はいいと思う。後半は照れすぎ。

●日本語を使う男と抱き合ってキスばかりして朝を迎えた
……うーん。
「ばかりして」が文字数合わせに見えます。

●何気なく過ごす あなたと電気屋の炊飯ジャーの前で集合
……「炊飯ジャーの前で集合」というアクションを、
あなただけが面白がってる感じがします。
あと、前半が無駄な部分に見えてしまう。

●十二時のままで時計が止まってた彼氏の部屋でジョリジョリされた
……「ジョリジョリ」も、これじゃあわからないよ、
ヒゲのことだなんて。
 
 

[119]ですよね…… 
投稿者:吉見マキ 

●あいまいが優しさだって思ってるみたいですけどそれは違います
(加藤千恵)

この歌を読んだとき、
「これだー!!」って、叫んだのを覚えています。
私が長年言いたかったことはこれだ、と。
今回、私が言いたかった「曖昧」はちょっと違うけど、
結局自分でも「曖昧は優しさじゃない」って
言ってしまうあたり、とどのつまりは同じなのかな、って。
でも、これだけは完成させたいので
もっと自分の気持ちを絞り込んでみます。
かとちえさんの傑作に負けないように。
負けるって考え自体おかしいのかもしれませんが。

●すぐ先に答えを探す 曖昧を生きてる時間は私には無い
(吉見マキ)

●本当に大切な人だからこそ君とは恋愛したくないんだ
(吉見マキ)

●窓ガラス越しにふと目が合っただけ それを恋だと思ってただけ
(吉見マキ)

こんなのばっかりですみません……。
 
 

[120] わかりやすさ、
投稿者:丹生谷歩美

昨日書き込んだ歌なんかは、自分では「わかりやすい」と思ってました。
説明はしすぎてもつまらないし、しなさすぎても伝わらない。
自分がどんな位置に立っているかしっかり把握してないと、
ちょうどよさはなかなかでないんだろう思う。

〈全般的に、作者だけがわかっている〉
そうなんだろうな……。普段の生活でも感じるときがあります。
だけど、自分からは離れられないからさ。
「どこに向かって語りかけるか?」この意識を持てばいいのかな?
短歌向きではないやつもあるかもしれないけど、一応解説します。

●スキップで踏んだ地雷で偶然に脚が一本ふっとんだだけ

……現実というか、まだ地雷残ってるしなぁ・・と。
軽々しく書いたわけではなく、五体満足じゃなくても、
不幸じゃないし、それがその人の個性だと思いますが駄目なのかなぁ。

●レイチェルが「外国人」って言われたら泣いてないかな?と気になっていた
「外国人」言葉自体がひどいのではなくて、外国人を見たとき
「あっ、外国人だ」みたいな小さいひきみたいのって、
とくに子供なんか「がいじんやーい」って言ったりしますけど、
あと、その髪の色とか目の色とか、
容姿にびっくりして子供が泣いたりしますけど、
そのときレイチェルも傷ついてることを歌ってたんです。

●浴衣着て行く夏祭り「レイチェルと私」語になる 溶け合っていく 
……これ、わかりにくいですか?恋人同士の二人にしか
通じない言葉が生まれるのと同じで、
「レイチェルにしかわかんない私の英語」が出てくるんです。なんか、
日本人で生活圏違うような人よりもレイチェルの言ってることのほうが
理解できたりします。

●私は「ばかちょんカメラ」と言う人に写真を撮ってほしくないです 
どんなに顔がかわいくてもかっこよくてもお金持ちでも、
この言葉を聞くと、しらけます。でもそうだなぁ、
「知らずに言ってる」ってこともあるのか……。
「知らずに言ってる」人に、私はしらけてるのかな……。

●日本語を使う男と寄り添って朝までキスをしつづけていた 
こっちだったんだけど、
「寄り添って」「キスをしつづけいてた」が弱い言葉かなぁと思って
「キスばかりして朝を迎えた」けっこう紋切り型だけど、
わかりやすいかなぁ…… そう判断しました。 

●何気なく過ごす あなたと電気屋の炊飯ジャーの前で集合
……やはり私だけが面白がっている「炊飯ジャーの前で集合」のようでした。
「何気なく過ごす日常」はどうにか表現していきたいです。

●十二時のままで時計が止まってた彼氏の部屋でジョリジョリされた
……「ジョリジョリ」は恋人たちのスタンダードアクションだから、
わかりやすいかなと思ったんだけど、
「ひげ」をまで入れたら説明しすぎで、文字数もったいないかな……と。

●ひげをジョリジョリされていたその部屋にとまったままの時計があった (丹生谷
歩美)

何本か「わかりやすい」と判断したものを、
(わかりやすすぎて味わいに欠けて没になると思うもの)

●電話して「わたしだけど」と言うだけよ あとはだいたい相手が話す

●「タックス」の部分が好きよペンタックス 初期不良とか少なくてよい

●一般にあまり知られていないけどカメラ屋さんは月曜多忙

●ニーハオマ!中国語での挨拶は元気よすぎてついていけない

●レイチェルのトランペットは色が剥げかけているけど まぁそれもよい
     
●「ふたまた」を「かけもち」だとか言う彼女 ピンクの花がよくお似合いで

●あー今日はビーフラットがずれてるな 私だけしかわかんないけど

●「もう二十歳……自覚しなきゃ」と言ったのに「自殺しなきゃ」と伝わる電話
(枡野浩一)

こちらの歌と

●スキップで踏んだ地雷で偶然に脚が一本ふっとんだだけ
(丹生谷歩美)

こちらの歌の意識レベルはどう違うんでしょう。
いつもね、んー、性(エッチ系)と人の生死のことは、
歌っていいのかなぁ……と迷う。歌わずにすむなら歌いたくないというか、歌い方が
あんまりわかってないです。
 
 

[121] ええとね、
投稿者:枡野浩一 

●「もう二十歳……自覚しなきゃ」と言ったのに「自殺しなきゃ」と伝わる電話
(枡野浩一)

の歌は、
ほんとに「自殺しなきゃ」と誤解されたことがあって、
それは歌の主人公が、
そう聞き違いをされるような状態だった、
という事実が背景にあるのです。
その事実が、
この歌のリアリティを裏で支えていると思う。
言葉遊びで書いたのではない、
という……。
ちなみに同じモチーフが
私の詩集『ガムテープで風邪が治る』(新風舎)
にも出てきます。

あなたの足が現実に地雷でふっとんだことがあって、
同じ歌を書いたのだったら、
読者は皆それを認めるかもしれない。
「その歌を書く資格があなたにある」、
と私も思うだろう。

どんな作品も、
じつは作品だけで自立してるようで、
「現実」を引きずっているのです。
作者が男か女かゲイかゲイでないか、
ということを抜きにして作品が鑑賞できないように。
あなたが五体満足か否か、
ということを抜きにして、
その歌は鑑賞できません。

そのへんの問題は、
穂村弘『短歌という爆弾』(小学館)にも書いてあるから、
ぜひ読んでみてください。
あなたの歌と似たレベルの歌について、
穂村さんが鋭いことを言っています。

それでも、

●「もう二十歳……自覚しなきゃ」と言ったのに「自殺しなきゃ」と伝わる電話 
(枡野浩一)

を読んで、
いやな気持ちになる人はいるでしょう、当然。

たとえば、
二十歳になる前に自殺した子を持つ親の気持ちを考えろ、
と人に言われたとして、
「そう言われてもいいから私はこの歌を書きたかった」
と堂々と言えるか否か、
の問題だと思う。
私の場合、
「そう言われてもいいから私はこの歌を書きたかった」
のです。

「だれかを傷つける短歌をつくったら駄目です」
とか言ってるのでは全然ないよ。

覚悟の問題。
 
 

[122] それから、
投稿者:枡野浩一 

●電話して「わたしだけど」と言うだけよ あとはだいたい相手が話す
●「タックス」の部分が好きよペンタックス 初期不良とか少なくてよい
●一般にあまり知られていないけどカメラ屋さんは月曜多忙
●ニーハオマ!中国語での挨拶は元気よすぎてついていけない
●レイチェルのトランペットは色が剥げかけているけど まぁそれもよい
●「ふたまた」を「かけもち」だとか言う彼女 ピンクの花がよくお似合いで
●あー今日はビーフラットがずれてるな 私だけしかわかんないけど

……これらの歌は、
そのつぶやきの内容自体にはそんなに心ひかれないけれど、
歌としての完成度は、
今までのものより高いと、
私は感じます。
カメラ屋で働く主人公、
という前提をふまえて読めば
(連作の中の歌として読めば)、
主人公の生活と意見は、よくわかる感じ。
「この主人公の見ている世界」が伝わってくるというか。

でも作者がもしも、
「こんなことを短歌で伝えてもしょうがない」
と感じているのだとしたら、
いくら完成度が比較的高くても、
しょうがないよね……。

でもあなたの場合、
「意あまって言葉たらず」
というか、
言いたいことを盛り込みすぎて
歌が意味不明になってる部分もある気もするので、
「わかりやすすぎるかなー」
というくらいの情報量で仕上げると、
読者に届くものになるのかもしれません。

上に挙げた歌たちは、
つまらなくないと思いますよ。

●日本語を使う男と寄り添って朝までキスをしつづけていた
(丹生谷歩美)

……は、
「日本語を使う男」というのがポイントですね。

いつもは「日本語を使わない男」といっしょにいる、
ということを表現しているのかな。
連作の中の1首としては「あり」だと思います。

ところで丹生谷歩美さん、
あなた自身の中に、
「外国人」への差別意識や偏見はないの?
(ちなみに、私の中には、ある。と思う。
あなたよりは「外国人」に無関心だろうけど)

ここは倫理を問う場所ではないから、
そういうことの善し悪しを言いたいんじゃないんだけど。
歌の主人公=作者の中に、
そもそも生身の外国人に対する強い違和感があって、
それが投影されるから、
ほかの人が言う「外国人」という言葉に過剰反応するのでは?
などと思ってしまった。

自分の中にある差別意識や偏見を、
きちんと客観視して描けたら、
その短歌はきっと傑作になると思います。
 
 

[123] 帰り道のあいまに
投稿者:丹生谷歩美 

ふ、ふーん……。

今まで「完成度が高い」、「いい線」と
コメントしていただいた歌たちのほとんどは、
「スラスラと」か「書いた一回目くらい」に出てきた歌です……。

●長髪で痩せてメガネをかけていてヒゲをはやした「いかにも君」だ

●小4で朗読方を指示されていた私にあつく同情
(丹生谷歩美)

作り込んだからよくなるということはないでしょうけど、
スラスラ書いた歌はなんとなく信用できなくて、
苦労したり、努力してないから、
自信がないし、価値がわかりにくいんです……。
「つまらなくない」と言っていただけたら、
ちょっとは自信をもって出していけるかもしれません。
すべてにおいて、いままで自分の「考えすぎ」な性格が
反映されていたことだけは言い切れます。

眉毛だって、二年くらい前まで細くしてて、
すっぴんのときは麻呂眉だったけど、
見た目や格好ばっかり気にしてる自分が嫌になったので、
育ててたまに整えるくらいにしたら、
周りの人が「そのほうが自然でいいよ」と、
さりげなく言ってくれているのがわかります。
 

連作でやりたいことは、最後はこの二つに帰ってくるとして、
●キスしてる時は気持ちが流れ出てばれてるみたい はずかしいよね

●日本語を使う男と寄り添って朝までキスをしつづけていた
(丹生谷歩美)

「日本語を使う男」はポイントです。
だけど、普段も日本語を話す男と一緒にいるし、
たまに外国人ともいるし、
カメラ屋さんで働きながら、
〈「外国人」への差別意識や偏見〉について
考えたり考えなかったりするけど、
最後には言葉は手段でしかないと思うので、
やっぱり「日本語を使う男」と寄り添って眠ります。
 

はじまりは、これでした。
●日本人同士だったら友達じゃないって思うジョージアといる
これから、
●もし彼が英語を使う人だったとしても絶対好きになってた
これに帰ります。

ど、どう?作りこみすぎ?

「外国人」に対する考え方みたいなものは、
ちょっと整理して考えさせてください。
倫理の問題ではなく、一回散文にあげるくらいのほうが、
短歌に活きるような気がします。

〈こんなことを短歌で伝えてもしょうがない〉
ではなく、
こんなこと短歌で伝えていいのかな、ととらえていました。
 
 

[124] しょぼん
投稿者:吉見マキ 

前に書き込んだ最後の二首
●本当に大切な人だからこそ君とは恋愛したくないんだ 
(吉見マキ)

●窓ガラス越しにふと目が合っただけ それを恋だと思ってただけ 
(吉見マキ)

結構自信あったんですけども……。
でもまだ伝わりにくい・共感しにくい、なのかな。
絞り込まなきゃ。

●白なんておこがましいこと言いません 今の私は何色ですか?
(吉見マキ)

●からっぽな左に君が帰るまで私の為にだけ生きてみる
(吉見マキ)

どうでしょうか。むーん。
枡野さんんいご指摘いただいた「後ろに隠れてる言葉が多すぎる」
あの歌、現在推敲中です。
どう噛み砕こうかな……。
 
 

[125] そうだなあ、
投稿者:枡野浩一 

正直言うと、
丹生谷歩美さんは散文のほうが向いてるのかも。

連作の中の1首としては「あり」かも……
という歌をいくらたくさん並べても、
その連作はたぶん、
力のこもったエッセイや小説よりは弱いと思うの。

なんで短歌なの?

それは短歌でないと言えないことなの?

短歌にすることで最も効果的に伝わるメッセージなの?

いつも言うことですが私は、
「ほんとは小説を書きたいけど
根気がないから短歌になってしまった」
というふうに見えてしまう短歌は、
駄目だと思っています。

そういう短歌って、世の中に多いから……。
だから、
高いレベルのことを今、
あなたに要求してるわけだけど……。

あと、
短歌づくりで一番大切なのは、
「自作の善し悪しを見分ける目」
だと思っています。
常に第三者が駄目出しやオッケー出しを
してくれるわけじゃない。
だれが何と言おうと、
私はこれがいいと思う、
というラインが見えてこないと。
それには
経験と時間が必要です。

もう少しで、
この場は閉じますが、
これからも短歌を続けるつもりなら、
私の言ったことを覚えていてね。
頭の片隅で。
 
 

[126]吉見マキさんは、
投稿者:枡野浩一 

●窓ガラス越しにふと目が合っただけ それを恋だと思ってただけ
(吉見マキ)

……またもや「だけ」がリフレインしてますね……。
自分のつかいがちな言葉に、自覚的になってください。
内容は、べつにわるくないと思う、この歌。
でも飛び抜けて面白いわけでもない。

●本当に大切な人だからこそ君とは恋愛したくないんだ
(吉見マキ)

……「うん、こういう意見てあるよね」以上の感想を
持ちにくいです。

「本当に大切な人だからこそ君とは恋愛したくないんだ」
という、
多くの人が言ってきただろう平凡なセリフを、
いきいきとよみがえらせるためには、
この書き方じゃない書き方が必要。
もしくは、
短歌以外の形にしないと……。

短歌は、
「この言葉、すごくない? 見て見て!」
と、
みんなに言ってまわりたくなるほど面白くないと、
存在価値のない表現ジャンルではないかと、
思っているこのごろです。

「これはいわゆる短歌ってやつなんだけどさ、
俵万智とかが書いてるやつ、
今わりと静かなブームなんだ、
それで私も書いてみたんだけど、見てくれる?」
という地点からスタートしてるような短歌は、
もう、
ほかのジャンルの作品に、
百歩負けています。

というわけで、あしたで掲示板は完了ね。
 
 

[127] 再びしょぼん
投稿者:吉見マキ

ごめんなさい、
結果を出さなければ、と焦っていました。
せっかく何度もご指摘いただいていたことなのに、
判っていないなんて……。
あと1日だけど、死力を尽くして頑張ります。
呆れてらっしゃるかもしれませんが、
最後までどうぞよろしくお願いします。

●「大切な存在」という一言であと二ヶ月は生きていられる
(吉見マキ)

●恋愛はどうぞ誰かとしてください 残った時間を私にちょうだい
(吉見マキ)

多くの人が言ってきた平凡な台詞を、
自分で考え付いたと思っている自分は、
色んな方の色んな歌や言葉を読む数が少ないんですね……。
「ベタ」を真顔で言ってしまう無知さ、真顔で言う覚悟、
私は前者しか無かったみたいです。勉強が足りない……。

●窓ガラス越しにふと目が合っただけで恋に落ちたと騒いでた頃
(吉見マキ)

さらにつまらなさが増した気がしました……。
思い出のように語るにはまだ自分の経験が若すぎるかも。

●窓ガラスに映った君と目が合っただけで恋だと思ってました
(吉見マキ)

●バラードを泣いて歌えるぐらいには紆余曲折を歩いたつもり
(吉見マキ)
 
 

[128] あのー、
投稿者:丹生谷歩美 

なんで短歌なの?って言われたら、
なんとなくご縁があってここに来てしまいました。
くらいのものさしなんだよ、私が持ってるやつは。

丹生谷歩美さんの短歌は、
まだまだまだまだ人に見せずに、
量産させていくレベルなんじゃないかしら?どう?

日本語を使うことで、どんなところに行き着いているかも
わからない枡野浩一さんに、
思いついて数日しかたってないような短歌を、
見せるのだって心苦しいんだからね。
「ばかばかなんでわかってくれないのさ!」
と思い泣きながら、パソコンに向かってたんだから。
(泣きながら!)

私は小説を書いたことないけど、
小説が書けないと一文のコピーは書けないんじゃないかな?
そう思ってます。
ただ右も左もなんにもわかんないくらいのレベルのときは、
自分より視座の高い人の言うことを素直に聞いていくしかないよ。
会って話したことないから、なんかくいちがってるかな?
と思ってもなかなか言えないし、息づかいというか、
間みたいのがとりにくい。
自分でも飽きてるし、
おもしろいのかどうか判断できないけど、まぁ問題ないくらいのやつを、
選んで出していくしかなかったんだよ。
せっかくだから、言いますが、
私のいいところは、枡野浩一さんと、
短歌以外の無駄話をすることで、伸びたかもしんないな。
だから、普通の文章でやり取りしたかったもっと。
あー、こんな散文かいてたら、
短歌に力がないことがもっとバレる!って思いながらだったけど
(泣きながら)
短歌が意味不明なんだから、書かなきゃね。
力はいりすぎかー。

「連作」っていう発想は自分にあってたと思う。
最後のほうは、公開ラブレター書いてるような気持ちになって、
恥ずかしかったです。
枡野浩一さんの好きなものは私も好きだね。
英語習っててよかった。発想がちょっとでも広がった。
 
 

[129] この10件
投稿者:奥田与利子 

赤と青とオレンジですね。
ぶつけたぶんだけ、返してくださるんですね。
私はこの機会を活かしきれたのかな?

でも、すごくおもしろかった。
枡野さんのコメントはもちろん、
歩美さん、聡子さん、マキさんの歌も
その変化も、なんちゅうか、好きっつうか
大切?んー、なんか違うけど。

でも、あと一日ですね。

●シャクだけどわたしじゃなくてガンダムに夢中になってるきみの目が好き

●最後まで演じてやるぜエキストラ人生薄める役も必要
 
 

[130] 明日まで!?っていうか、今日まで!?
投稿者:勝山聡子 

うわぁ。
最近、今まで生きてきた中で一番忙しい日々を送っていて
あんまり書き込めてなかったし・・・なんか切ない。
でも、みなさんの短歌を見ることも
すごく勉強になりました。

なんとか作った改作です。
自分の言葉で書きました。
2つとも疑問形になってしまったんですが・・・

●雨じゃないのに一人だけ傘をさす君に降ってるものは赤いの?
(勝山聡子)

●晴れだった昨日何に降られたの?君の傘に増えてたペイント
(勝山聡子)

ちなみに、ここは今日の24時までですか?
この短歌は完成しないまま終わるのだろうか・・・
 
 

[131] 奥田与利子さん、
投稿者:枡野浩一 

●シャクだけどわたしじゃなくてガンダムに夢中になってるきみの目が好き
(奥田与利子)

……これは「あり」なんじゃない?

時間も限られてるし、
抽象的な質問とかくれてもいいですよ。

短歌は、
ずーっと仕上げで迷ってて、
3年たって突然
「あ、完成した!」
と思ったりするものです。

長い目で、ね。
 
 

[132] さて、
投稿者:枡野浩一

●雨じゃないのに一人だけ傘をさす君に降ってるものは赤いの?
(勝山聡子)
●晴れだった昨日何に降られたの?君の傘に増えてたペイント
(勝山聡子)

……この2首だったら、前者のほうがいいかなあ。
「?」のあとは、ひと枡あきをいれたら?
(枡野浩一『日本ゴロン』参照)

後者は下の句が情報量オーバー。

いや、
前者も下の句、情報量オーバーかなあ。

今までのやりとりを見てないで、
突然この2首を見せられたら、
やっぱりよくわかんないと思う、
何言ってんだか。

●雨じゃないのに一人だけ傘をさす君に降ってるものは何なの?

とか、ごくシンプルに仕上げれば?
 
 

[133]吉見マキさんの、
投稿者:枡野浩一 

●バラードを泣いて歌えるぐらいには紆余曲折を歩いたつもり
(吉見マキ)

……は、わりと好き。
「歩いたつもり」のところは、
「経てきたつもり」くらいスクエアなほうが私好みだけど。
でも、気分、わかるよ。
 
 

[134] 号泣 
投稿者:吉見マキ 
  
とまではいかないけれど、
「わりと好き」って言って頂けたのが嬉しくて、
ほろりほろり。
「歩いたつもり」は確かに枡野さんがおっしゃる
「手垢のついた表現」だと感じてました。
でも逆にそのベタさが今の私かな、なんて。
「気分、わかるよ」って凄い嬉しいです。よかった……。

折角の機会なので、思い切って質問させてください。
「もう何度も言ったでしょ?」って思われるかもしれませんが、
あえて聞かせてください。すみません。

「自分の短歌の善し悪しを見分ける目が、一番大事」
と、枡野さんはいつも教えてくださいました。
主観から離れよう、離れようって思ってみても、
なかなか客観視して見る、
何も知らない他人になったつもりで見る、
それがなかなか出来なくなります。
考えすぎて、どれが主観かも判らなくなったり。
そういうとき、どうすればいいんでしょうか?
自分のクセを並べてみる、のも一つの方法でしょうか?
 
 

[135] 吉見マキさん、そういうときはね、
投稿者:枡野浩一 

五年後、十年後に自作を読み返せばいいんです。

そこまで待てない、
というときは、
「短歌なんか全然興味がない友達」
に読ませて感想を聞きましょう。

私は二十代のとき、そうしてました。
 
 

[136] あ、あのー朝。
投稿者:丹生谷歩美 

短歌を作り始めた一番はじめのきっかけはなんだったんですか?
気がついたらそうなってたのかな?

文章のくせは「〜っていうなになに」「〜ってことがなになに」
って、よくやってしまってますよね、私。

気に入ってるところが使ってもらえるといいんだけど…。
この掲示板やってる最中に「三点リーダ」を学んだ私…。

短歌のことでもっとねちねち言われてもよかったんですけど、
(短歌に関するコメントがまぁまぁやさしかった) 
丹生谷歩美さんの短歌で、
こういう方向に向かっていったらいいんじゃないかとか、
具体的なテクニックのことでも、あったら言っといてください。
最後だからおもいきりねちねち!!

ねちねち言うほどのこともないかもしれないけど、ねちねち!
(おネエ言葉希望)
 
 

[137]短歌か 
投稿者:奥田与利子 

そう言えば、中学生くらいまでのサイン帳(プロフィール書くやつ)
の将来の夢のところに、「歌人になる」って書いてました。
あと「歌集を出す」も。でも、そのとき短歌つくったこと
なかったんですよね。歌人って、非現実的な職業だと思ってた。

甘いとうか、失礼というか。すみません。

それで、縁があってなんとなく始めて、なんとなく作ってました。

「私の歌って、けっこうオンナオンナしてるなぁ」
「無責任につくってたな」
「確かに意味わかんないだろうな」
「語彙少ないし、自分だけでおもしろがってるな」
「今まで歌に愛情かけてないな」
「自分の主張から逃げてるな」

って、今回気付くこと結構ありました。ありがとうございました。

そして、ついでにもう少し教えて欲しいです。
奥田与利子の短歌の傾向と対策。
 
 

[138] 丹生谷歩美さんの短歌にアドバイスするとしたら、
投稿者:枡野浩一 

「言いわけをやめるようにしてみたら?」。

言いわけできないところに短歌を置いてみる、と。
あなたの名前も添えられず、
短歌1首だけがぽんと置かれて、
通りすがりのだれかに読まれることを想像してみる……。

みんな冷たいよ?
「わかってあげよう」なんて意識では読んでくれないから。

私の短歌のルーツは、
替え歌です。
昔から替え歌をつくるのが好きで。
ごくたまにだけど作詞の仕事もしています。

あと『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)に書いたけど、
私の短歌は、
「散文を正確に書く力」をフルに活用して書いてるの。
一言で言うと私、
文章力があるの。
あと、読解力もある。

だから、ほんとは皆さんの短歌も、
「何が言いたいか」くらいはわかります。
でも、
それがひとりよがりの表現になってることもわかるから、
わざと「わからない」と言い続けてきました。

ちなみに「……」は、
ふた枡つかうのが正式です。
枡野浩一『日本ゴロン』(毎日新聞社)参照。
 
 

[139] 傾向と対策はないです、 奥田与利子さん。
投稿者:枡野浩一 

こういうふうにすれば、
短歌がつくりやすくなる、
なんていう方法は、ありません。

つくりにくいものです。短歌は。

そして、
つくらなくてもいいんです。
つくりたくなければ。

つくるまいと思っても、
しかたなく、
どうしようもなく、
うまれてしまうような短歌が、
いい短歌です。

『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)、
読んでない人は読んで。
読んでる人は、
読み返してね。
最近増刷されたので、
入手しやすくなったはず。
 
 

[140] なるほど
投稿者:吉見マキ 

短歌を五年、十年放って置くのも一つの手なんですね……。
またそこで改めて考えることもあると思いますし。
今回の添削指導していただいてる間、私は短歌を何も知らない友人に、
自分の歌を何首か読んでもらいました。
そこで、自分の歌が「思い込み」や「善意の誤読」に頼っている部分が
圧倒的に多いと実感しました。

三点リーダを二枡使うのは、『日本ゴロン』(毎日新聞社)で知って以来
ずっとそうやって使うようにしてます。
あと、「!」「?」の後は一枡空ける、も。
自分の書き込みを読み返すと、いかに自分が
「……」を多く使っているのかわかります。
これも、その「間」で読むほうに任せようという、自分の甘えなんだなぁと。

今回、言葉にできないくらい多くのことを学ばせていただきました。
自分がこれからどう短歌と向き合うかも、きちんと考えられたし。
最近は思わず31文字のリズムで言葉を発してしまうことが多いです。
思わずこぼれてしまう、と言いますか……。
どんな形であれ、私は今後ずっと
短歌を作り続けていくんだろうなと思っています。

あ、『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)増刷おめでとうございます。
読むたびに新しい発見があって、今じゃ手放せません。
学校の教科書と一緒に机の上に並んでます。
 
 

[141]リップクリーム
投稿者:丹生谷歩美 

通ってきた短い道のりの中で、
思ったよりみんな冷たくないな?
と感じていました。
これからもそれは繰り返されるかもしれないとも。

丹生谷歩美が丹生谷歩美だったからでしょうか。
それとこれとは別のお話で……。
アドバイスを参考にさせていただきます。


関わる外国人は、
勤務先のカメラ屋さんが飲み屋街の近くにあるために、
東南アジア系のホステスか、
週に一度の英会話の先生です。

片言の日本語を話すフィリピンの女の子を見ていると、
「片言の日本語しか話せないから、
それをいいことにつきまとう男の人もいるんだな」と感じます。
差別や偏見なんてこととは、離れて暮らしたいから、
「しょうがないこと」で片付けますが、
いい気持ちにはなりません。

大切なのは日常で、自分が手の届く範囲の人を
せめて大切に、
口を聞く範囲の人と笑いあっていけたら
それでいい。
分かり合えるなら、
なるべく痛くしないで分かり合いたいです。

英語で話しかけてくる日本人は語学力を試しているようで
信用できないと感じているアメリカ人のジョージアや、
英語を話す人がいるとホッとするデリックや、
もうあえて日本語をわからないふりをする
フィリピン人の女の子たちと知り合いました。

英語の「How are you?」 は、
日本語の「ごきげんいかが?」に置き換えられないのではないでしょうか。
語学を学ぶことは、
概念を増やしたり、崩したりすることなので、
気分転換になって楽しいです。
私はちっぽけだから、
楽しむ以外にはなにも、できないけど。
好きな日本人の男と寄り添って眠れたらそれでいいよ。


がぶんさん、けいとさん、保坂和志さん、
お見苦しい点は数あったと思います。
あまりお役に立てませんでしたが、
貴重な体験となり勉強させていただきました。
ありがとうございました。
蒸し暑い季節になりますので、
どうぞお体にお気をつけください。

Best,

丹生谷歩美
 
 

[142] そして、
投稿者:丹生谷歩美

もう言ってもいい?
ありがとう枡野浩一さん!感謝!
 
 

[143] まだちょっと時間が早いかもしれませんが
投稿者:保坂和志 

丹生谷さん、吉見さん、奥田さん、勝山さん、どうもありがとう。そして、お疲れ様でした。

短歌を作る人と小説を書く人とでは、タイプが同じというわけではありませんが、どちらも「目指している人」と「プロ」で厳しさが違うという点では共通しています。カルチャー・センターなんかでは、生徒が提出する作品を褒めつつ直させるのが普通のパターンで(だから私もそういうやり方はいやだから指導はしないのですが)、今回のように、プロが本気で批判して指導するのは、とても珍しいケースです。そういう滅多にない厳しい指導にみなさんよくついてきてくれたと思います。もしもみなさんが全然、根性や短歌に対する熱意がなくて、すぐに降りてしまっていたら、この企画は成り立ちませんでした。
本当にどうもありがとう。

でも、不思議なもので、もしこれが参加者がお金を払うような場だったら、「お金はらってるんだから、もっと優しく言ってくれてもいいでしょう」みたいな、意見が出たかもしれないんだよね(いや、出なかっただろうけど)。
お金を出してもどうにもならないところで、人は誠実になれるのかもしれない、などということも考えてしまいました。

[144] 声を大にして
投稿者:奥田与利子 

保坂和志さん、がぶんさん、けいとさん、
ありがとうございました。

歩美さん、聡子さん、マキさん、
ありがとうございました。

この掲示板に書き込む間に、引っ越しして北海道人になりました。
函館はいいとこです。北海道新聞も読めます。

言葉好きで始めた短歌だけど、言葉に向き合わず、
なんとなく作って、自己満足してたこと、
それがわかっただけでも大きな収穫で、
「枡野浩一」という歌人が私の歌を見て、
私が向き合ってこなかったところを指摘してくれて、
やっぱり、すごい経験だなぁって
改めてドキドキしてます。

枡野さん、本当にありがとうございました。

これからつくる歌がどう変わるかにも少々ドキドキしてます。
枡野さんの目を持っていきたいな。なんて思ってます。
 
 

[145] 私にとって短歌を作ることは
投稿者:勝山聡子 

あくまで趣味だったので
こんなに懸命に短歌を絞り出すっていうのは
新しい体験でした。
なんか短歌ってやっぱり奥が深いなぁと実感しました。
みなさんの熱意はすごいと思いました。
私にとって、これからも短歌はたぶん趣味だけど、
こっそり推敲を続けようと思います。
結局のところ、短歌は大好き!なんです。

途中だったやつは
もう少しじっくり考えてみます。
今思い浮かぶのは自分で納得できないから。

この体験はすごく私にとって大きなものだったと思います。
大きすぎるぐらい。
保坂和志さん、がぶんさん、けいとさん、
歩美さん、与利子さん、マキさん、
そして枡野さん、
みんなみんな、ありがとうございました。
楽しかったです。
 
 

[146] 滑り込み! 
投稿者:吉見マキ 

考えてみると半月という期間だったのに、
なんだかもう、ずっと昔からこの掲示板があるような
そんな甘い錯覚に陥りそうになりました。
私にとって、枡野さんは憧れの方でした。
書かれるものや短歌が、ときには痛みを伴いながらも
あらゆる角度で刺さってきます。
枡野さんの言葉に向き合うことは、
私にとって、自分自身に向き合うことに等しいものだと感じています。

誰に見せることも無く、でも野望のように作り始めた短歌ですが、
こうやって厳しくご指導いただけたこと、
本当にありがたく思っています。
普通ならば馴れ合いになりがちな添削も、
本気でご指導いただけたからこそ、本気でぶつかることができました。

自分に対する甘え、これが私の一番の課題だと思いました。
ゆっくり何度もログを読み返して、短歌を歌う気持ちを
忘れそうになったとき、いつでも思い出せるようにしたいです。

実は、結構焦っておりました。
他の方は具体的にコメントをいただいてるのに、
私は「数撃って」のコメントだけでどうしよう、と。
でも時間が経つにつれて、的も見ずに目をつぶって
ただがむしゃらに撃っていたことに気づきました。
自分の歌を冷静に見る目、まだまだ足りないかもしれませんが、
その基本を教えていただいたと思います。

聡子さん、歩美さん、与利子さん、
短い期間だったかもしれませんが、
一緒に短歌を作っていくことができて本当に楽しかったです。

保坂さん、がぶんさん、けいとさん、
このような素敵な機会を与えていただいて本当にありがとうございました。
お見苦しいところばかりだったと思いますが、
見ていていただけてるんだと思うと、凄く安心感がありました。

そして枡野さん、
本当にもう、言葉にできないくらい、
たくさんたくさん、ありがとうございました。
すごく嬉しかったです。
今は、それしか言葉にできません。
本当にありがとうございました。

またどこかでお会いできたらそのときは
みなさん、どうぞよろしくお願いします。
 
 

[147]お疲れさま。ありがとうございました。
投稿者:枡野浩一 

それでは、
これにて終了とさせていただきます。

皆さんの発言を取捨選択し、
構成してから、
保坂和志さんのメールマガジンに発表します。
構成は私にまかせていただけますか。

メールマガジンに載せる前に、
完成原稿を皆さんにメールするつもりですが、
「これで発表するからどうぞよろしくお願いします」
といった感じの、
最後の確認……と思ってくださいね。

きょう、
3歳の息子と会ってきました。
「会せてくれ」と妻に言いつづけて半年、
やっと面会が実現したのです。
(6歳の娘は私と血がつながっていないので
今はまだ面会できない)
お台場で観覧車にのりました。

そんな私の精神状態が、
ここでのやりとりに反映しなかったはずはないので、
その点に関しては、ごめんなさい。

「短歌はこうでなくては」と
私が思うラインより下にあるように見える短歌は、
じつは短歌界にはたくさんあります。
だから、
たとえば丹生谷歩美さんが来年、
短歌雑誌の新人賞をとっても私は驚きません。

厳しいことを言いましたが、
皆様のおつきあいに心より感謝します。
面白かったです。



謝 辞

枡野さんをはじめ、勝山さん、丹生谷さん、奥田さん、吉見さん、
皆さん、本当にどうもありがとうございました。
いやぁ、短歌って奥が深くて面白いなぁ。
でも人間はそれ以上に奥が深くて面白いなぁ、と実感させられる企画でした。
枡野さん、これに懲りずに、またやってください!
とお願いしつつ、読者の皆様、ではまたいつか……。

がぶん@@


END