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◆◇◆    メールマガジン【いなむらL7通信】 第14号      ◆◇◆
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                        2002/4/20 vol.14

4月20日・・・どんなことがあった日だっけ???  
あっ、そうだ思い出した!!
1720年、大火事頻発の江戸に瓦葺き土蔵奨励!
1887年、伊藤博文主宰の「仮面舞踏会」が首相官邸で!
1972年、初めてタバコに健康注意表示が!
1901年、日本最初の女子大、日本女子大が成瀬仁蔵によって開校!
1914年、夏目漱石が朝日新聞紙上にて「心」連載開始!
1971年、内田百聞が、シャンパンをストローでちびちび飲みながら昇天!
以上、思い出したりするわけがない、雑学豆知識でした。
そして、2002年4月20日の今日、
突然ですが、いままでご愛読していただいた、この「いなむらL7通信」
「ちょっと休むからとりあえず最終号」ということになりました。
時機をみて、まったく新しいかたちで再出発したいと考えていますので、
どうか、泣いたりしないでください。
読者のみなさん、そして執筆に参加してくださったみなさん、
ほんとうにありがとうございました。
           発行者・がぶん@@
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■■■          芥川賞作家・保坂和志公式ホームページ       ■■■
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★☆★----------もくじ--------------------------------------------★☆★

■連載【小説論番外篇】vol.14 「1日何枚書くか?」 保坂和志
■ゲスト劇場・第11回「チイさなことからコツコツとvol.03」 by/チイ
■今月の【わたしのオススメ】(オススメ人)
 ◆歌手:「クミコ」(ミメイ)
■「稲村月記」vol.12 「原因不明の三つの出来事」の巻 高瀬がぶん
■連載【興味津々浦々】vol.13「ジャパニーズ・ガウンの巻(12)」春野景都
■編集後記
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■連載【小説論番外篇】vol.14 「1日何枚書くか?」 保坂和志

 前々回と前回で書いたことのつづきを書かなければならないのですが、この1
ヵ月は小説を書くことの他にあまり時間がなくて、あの先に考えを進められてい
ないし、ここでゆっくりと考えている時間もありません。すいません。
 私は本当に不器用な小説家で、同時に複数のことができない。しかも体調の波
があって――たぶん小さな疲労がたまってドドッと疲れる期間があるのだと思う
――、ここ2週間ぐらいはその谷間で、なおさら他のことができない。で、今回
は別の話にします。
 「新潮」の5月号で古井由吉がインタビューに答えていて、毎日の執筆はまず
下書きを書いて、それを正式に書き直すという進め方で、文体が文体だから「1
日2枚」と言っていた。谷崎潤一郎も「1日2枚、よくて3枚」と言っていたら
しい。私の場合は、1日のうちに下書きと決定稿を書く古井さんのやり方と違っ
て、第1稿を一通り終わりまで書いてから第2稿に移るやり方だけど、第1稿も
第2稿も平均5枚なのでまあ古井さんや谷崎潤一郎翁(!)とだいたい同じペー
スということになるのかもしれない。
 私は本当はもっとさっさと書いてしまいたいし、『生きる歓び』とか『小実昌
さんのこと』のように書くことが事前に決まっている場合は、1日20枚から3
0枚ぐらいダアーッと書いて、それっきりほとんど手を入れることもないけれ
ど、ああいう「実際にあったこと」ではないことを書くとなると、どうしても1
日5枚になってしまう。結局、純文学系の作家は、基本的にこのペースになるら
しいのだが、ひとりとんでもない人がいる。小島信夫だ。
 小島さんは毎日少しずつ書くという方法をとらない。締切り間際にダアーッと
書いてしまう。1915年生まれで、今年87歳にすでになっているというの
に、いまだにそのやり方をつづけている。しかしいまはまだいい。1970年
代、小島さんは十数年つづいた『別れる理由』と同じく十数年つづいた『私の作
家遍歴』と、さらにもう1本ぐらいの連載を持っていた。『私の作家遍歴』とい
うのは、ラフカディオ・ハーンとかトルストイとかを中心にしつつ、その作家が
影響を受けた思想家や同時代の思想にまで話が広がっていく評伝で、毎月毎月そ
ういう周辺の本を2冊ぐらい読みながら、ハーンならハーン、トルストイならト
ルストイに話が戻ってくる。広がり方はまあだいたい自由連想みたいにとりとめ
がないと言えばとりとめがないけれど、それなりに絡まり合っている。前回の宮
台真司の〈主体性の構造〉そのもので、読んでみるとわかるが(あいにく絶版で
すが)、周辺への連想はその本を読みながら思い付いたものではなくて、それ以
前から小島さんの頭の中に入っていた。
 この時期のことを小島さんに訊いたら、こういう答えが返ってきた。
 「『別れる理由』なんかは長くつづいていたと言ってもいい加減なもので、締
め切り日にパパッと書いてしまえばそれで終わりだったけれど、『私の作家遍
歴』は関連する本を読むのが大変だった。読むことに大半の時間を使ってしまっ
て、原稿は結局、締め切り日とかその前の日ぐらいから慌てて書くことになって
しまった」
 『別れる理由』がだいたい1回30枚で、『私の作家遍歴』の方は、1回50
枚です。小島さんはいつでもそれを1日か2日で書いてしまう。さすがに40歳
代の頃はもう少し時間がかかっていたらしいが、50歳ぐらいからずうっとこの
ペースになってしまった。上記の「新潮」のインタビューで古井さんは「歳をと
ると筆が遅くなる」と言っていて、これはほぼ全員にあてはまるけれど、小島さ
んだけがひとり例外で聳え立っている。
 『小説修業』の第2章のラストで突然小説のようになるのは、その返信で私が
すでに書いていることだけれど、最近、妻は小島さんのどんな短い文章を読んで
も「本当に面白いねえ」と言う。以前は、話にとりとめがなさすぎて「???」
ばっかりだったけれど、馴れてきたらしくて、ひたすら面白がる。そして「やっ
ぱり才能のなせる技だよね」と言う。
 私は才能という言葉を安易に使うのは嫌いだけれど、小島さんだけはやっぱり
「才能」と言うしかないと思う【註へ】。これも『小説修業』(163ページあ
たり)で書いていることだけれど、その才能は、『アメリカン・スクール』(新
潮文庫)の『小銃』や『馬』ですでに現実化している。小島さんの書くものに
は、何故かいつも切迫感がある。人によっては、「悪意」「見えざる悪意」と感
じるかもしれない。小説にすぐに悪意を持ち込みたがる人の書く悪意は、世間レ
ベルの底の浅いものだけれど、小島さんの悪意は全然違う。いきなり何かが歪ん
でいることによってそれは起こる。濁流の中に放り出されて、立たされているよ
うな感じだとも言える。
 これが何といっても小島信夫の核心だけれど、全然真似ができない。文章自体
は少しも凝っていないどころか、むしろ雑だし素っ気ない。小島信夫を読むと、
これが本当の文体であり、文体とは表面的な要素のことではなく、リズムのこと
でさえなくて、書かれたことの連なりなのだということがよくわかる。だから、
1日で30枚とか書けてしまう。しかも小島さんは、書いたら前の行さえ読み返
さない。
 「目が悪いから枡目も見えないし、万年筆の字もよく見えていないんだから、
読み返すことなんかできないんですよ」
 この調子でやってきたから、小島さんはおそらく50歳すぎたあたりから、自
分の書いたものは一度も読み直してないんじゃないだろうか。こういう作家もま
た他にいない。ただし『私の作家遍歴』だけは、たまに読み返すことがあるらし
くて、自分でも「たいしたもんだ」と感心するらしい。
 それはともかく、『季節の記憶』を書きはじめたときから、私だって本当は書
き直すことが面倒くさくてしょうがない。だいから、できれば「一発で決定稿」
でいきたいと夢見ているんだけれど、書いた部分を読み返してみるといつもほと
んど弛緩していてどうしようもなかったり、あるいはすごく言葉が足りなく見え
たりして、書き直さざるをえない。たしか前々回、私は「書くとはほとんどの時
間を書いた部分を読むことに時間を費やすことだ」という意味のことを書いたけ
れど、小島さんの場合はこれもあてはまらない。しかしところで、私はそうでは
ないので、延々と時間のかかるサイクルに陥っていて、もう本当に他のことをす
る時間がない。
【註「才能」について――やっぱりここで「才能」という言葉を出す必要はない
のかもしれない。小島信夫には小島信夫としての小説やその他のいろいろなこと
について考えていた時間の蓄積がある。その蓄積たるや圧倒的で、それがいまの
「書き散らかし」のような書き方でも、すべてが小説になるという現実を生み出
した、と考える方が正しいかもしれない。小説とは「書くもの」であり、「読み
返す」ものでもあるけれど、同時に「小説について考えることによって生まれる
もの」ということだ。】

***ところで5月15日をもって、「掲示保板」と「折々の保板」のふたつの
掲示板をいったん休止にし、同時にこの「いなむらL7通信」も今回で休刊にす
ることにしました。
 このホームページそのものが、「保坂和志」という名前が目立つようにはなっ
ていますが、皆さんもわかっているとおり3人のユニットによるもので、そう、
内山田洋とクールファイブ(古い!)とか鶴岡まさよしと東京ロマンチカ(もっ
と古い!)のようなものです。誰がリーダーで誰がボーカルだったのか判然とし
ませんが、まあとにかく、そのようなものだったわけで、音楽のバンドが一時活
動を休止するように、ホームページも表立った活動の部分(?)だけ一時休止に
しようというわけです。
 とは言え、掲示板は閉じるけど、わたしのエッセイはそのつど更新します。ほ
かにも極力「創作ノート」の未完成部分とか「小説論」は書いていきたいと思っ
ていますし、どうせヒマながぶんも日々の微冒険を掲載したり、ずいぶんやって
いない猫マンガをやったりするかもしれないし、けいとが興味津々浦々をまたは
じめたりしているかもしれません。
 それから、5月12日(日)に予定していた「『もうひとつの季節』の舞台を
歩く会」は予定どおり実施し、それが期せずして(?)「いったん休止の会」に
なったというわけです。この会の詳細は掲示保板でまた詳しく告知します。
 活動再開の時期などは掲示板を閉じる5月15日までには決めることができて
いるかもしれません。そういうわけで、少し早いけど、いったんお別れの前告知
でした。では、また会う日まで。
 と、書いたところでてんこちゃんの訃報が舞い込んできました。道路をさまよ
っていたてんこちゃんをけいとが保護して、がぶんさんの家で飼いはじめたの
が、このホームページがはじまって間もない2000年の秋だったと思います。
長い命だったとは気休めにも言えないけど、目が見えなくて、運動能力が極端に
なくて、トイレでオシッコもウンチもできなくて、しかもテンカン発作を周期的
に起こす猫としては、がぶんさんのような大雑把な人の家で飼われて、とても幸
せだったと気休めではなく心から思います。
 わたしが見たときにはてんこちゃんは、まとわりつくすみちゃんを欝陶しそう

していました。すみちゃんはからだのどこも不自由なところがなくて、とても気
のいい猫ですが、すみちゃんの気がいいのも、我が家の猫たちの気がいいのも
(ジジはけっこうエキセントリックだけど)、みんな健康でからだが自由に動け
るからです。それは猫が病気になったときによくわかります。
 ――ということは、もし、てんこちゃんも普通の猫みたいに育つことができた
ら、やっぱり当然、活発で気のいい猫だったのだろう、わたしたち人間に対して
「気がいい」ということではなくて、自分自身がいつでも機嫌よくしていられた
のだろう、と思うのです。ひとまずは同じように、生命や精神(みたいなもの)
が与えられたのに、健康とか運動能力などの与件によって、一生を通じての気持
ちのコンディションが不調になってしまうことがある……。
 では、あらためて、また会う日まで。
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■ゲスト劇場・第11回 チイさなことからコツコツとvol.03
 「母親だった」 by/チイ
 
2月25日に友人夫婦に子供が産まれた。今か今かと待っていたのは、当人たちは
当然だろうけど、こういうときは外野の方がむしろうるさいぐらいで入れ替わり
「まだ産まれないのか」という電話にいいかげんうんざりする、なんて話も聞い
ていたけどぼくも同じようなもので、周囲の、家庭を持つなんてまだまだ縁がな
さそうな友人のうちの一組であった彼らに子供が産まれてしまうことに野次馬的
な関心がなかった、とも言いきれない。
彼らとはたいてい月に1、2回は会っていたからお腹が徐々に大きくなっていく過
程も一応は見ていたことになる。とはいうものの徐々に大きくなっていったとい
うよりも、気がつくと大きくなっていたという印象の方が強くて、そういうのは
観察とはいえないから、久しぶりにあった人の「お腹大きくなったねぇ」という
驚きとどれほど違うものなのか分からない。
産まれた次の日がたまたま休みの日だったから、さっそく病院に行くと、旦那の
方は昼間は仕事でいなくて、部屋に入ると奥さんの方がベッドに座って歯をみが
いていた。全室個室になっていて部屋は四畳半くらいの大きさに、母親用のベッ
ドととなりに赤ちゃん用ベッドがあったけど人形がいくつかおいてあるだけで赤
ちゃんはそこに寝ていなかった。出産したからといってすぐに出ていたお腹が元
のように引っ込むというわけではないようで、見た目には目立って出産前と変わ
るところがなく、彼女は「お腹がぶよぶよして気持ち悪い」と言った。
その日はよく晴れていたから部屋の大きな窓から陽は入るはずだし、二月の下旬
とはいえそう寒い日ではなかったけど、部屋の中は暖房がきいていてかなり暑か
った。出産直後だから母胎の方もやっぱり冷やしちゃいけないんだろうな、と部
屋にあった椅子に座って考えていると、歯磨きを終えた彼女がぶっきらぼうに指
さした母親用のベッドの上には今まで見たことがない小さな赤ちゃんが静かに眠
っていた。あまりに小さくて静かだったのと、当然新生児室にいるものだという
思い込みが手伝って、驚いたことに部屋に入って2、3分は赤ちゃんがベッドに寝
ていることに気づかなかったのだ。普通に考えたらまず真っ先に赤ちゃんを見せ
るだろうと思うのだが、そういう普通じゃないところが彼女にはあって今思い出
すと可笑しい。本人はぶっきらぼうに指さしたつもりはないのだろうけど、こち
らからしてみるとぶっきらぼうに見えざるをえないくらいあっけなく、田中小実
昌風に言うなら「ひょいと」そこに赤ちゃんがいた。手のひらサイズの頭にはす
でに毛がはえていて、彼女に抱きかかえられると目を覚まして体を動かした。手
足は肘、膝から先がバラバラにあちこちに向かって動いていて、変な表現だけど
精巧に作られた粘土細工を見ているようだった。「目が少ししか見えてないから
目つきがわるいの」と言われて顔をのぞき込むと、赤ちゃんの黒目は目の前にい
るぼくの顔に一度も焦点が合うことなく、左右に、間断なくコロコロ動いてい
て、それが時折横目でジロッとにらみつけるような表情に見えることがあり笑っ
てしまった。旦那の方が「岡本太郎画伯似」と言っていたのはたぶんこの目つき
のことなのだろうと思った。
こんな風に書いていると全然かわいくないみたいだけど、実際は大げさではなく
初めて(と言ってもこんなに小さい赤ちゃんを見ること自体初めてだけど)人間
の赤ちゃんを見てかわいいと思っていて、けれどもそれが目の前の赤ちゃんとい
う対象を離れるとなかなか再現しがたい。そもそも「かわいい」という言葉がそ
れ自体で自足していて、少なくとも日常生活で「かわいい」の意味を説明する事
なんてないけど、本当は当然「かわいい」には全部違う意味があるはずだ。例え
ば子猫のかわいさを人に伝えるときに、猫嫌いの人にそのかわいさを説明するこ
とは難しい。こっちがいくら熱心に「ちっちゃくて、目がくりんくりんでさ、動
くものには何にでも飛びついて来るんだよ、毛もふさふさしててね、持ち上げて
も持ち上げてんのか分かんないくらい軽くてさ、そのくせいっちょまえに毛づく
ろいしたりするんだよハハハハハ」とか説明してもほとんど理解されない。一
方、猫好きの人とそういう会話をすればたいてい盛り上がるけれど、だからとい
ってその子猫特有の「何か」が伝わっているかといえばそれも疑問で、相手があ
らかじめ持っていた子猫に関する知識が共有されたにすぎないのかも知れない。
前者なら結局好き嫌いの話に回収されるし、後者は後者で盛り上がってるうちに
その猫特有のかわいさを伝えることなんて忘れてしまうか初めから伝えることが
本来の目的でない場合が多いけど、その時赤ちゃんを見てぼくが感じた「かわい
い」という気持ちはそれ自体で自足してしまう「かわいい」とは少し違ってい
た。実際ぼくはその時積極的に「かわいい」という言葉を口にしなかったかも知
れないけど、「手足がバラバラに動く」とか「焦点が合わなくて目つきがわるい
表情に見える」とか「精巧に作られた粘土細工みたい」とか個別に見ていくとそ
こからは「かわいさ」が感じられない描写と矛盾せずにその気持ちは存在してい
た、というようなものだった。
ぼくに抱かれたりしている内に赤ちゃんは泣き出してしまい、その泣き声もまだ
まだ全然小さくてかわいいものだった。生後二日目の赤ちゃんが、自分を抱いて
くれている人間を母親だと判断というか感じることができるのかどうかぼくは知
らないけど、「ウンチでちゃった?」とか「おなかすいたの?」と声をかけてい
る彼女を見ていて、「ちゃんと母親なんだ」と思った。「ちゃんと」というのは
語弊があるかも知れない。産まれる前によく「自分たちが親になるなんて考えら
れない」なんて言っていたし、ぼくにも(ぼくに言われたくもないだろうが)彼
らを見ていてそういう類のいわゆる老婆心があるにはあったけど、この老婆心と
「ちゃんと母親なんだ」とは関係がない。ぼくが言いたいのは彼女が母親してい
るかしていないかの問題ではないし、だいいち生後二日目に立派に母親してるか
かどうかなんてことが判断できるわけがないのだから、そういうぼく自身の判断
どうこうの問題でもない。泣いている赤ちゃんを抱きかかえて声をかけている光
景が母親だったのだ。そのことにぼくはちょっと感動した。けれどもそんなこと
も当たり前なのかも知れない。だから「ちゃんと」ではなくて「ただ母親だっ
た」のだろう。
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今月の【わたしのオススメ】(おすすめ人)

■歌手:「クミコ」(ミメイ)

クミコとは、アボカドの新種。…ンなワケがない。出身は「銀巴里」だが、シャ
ンソン歌手ではない。ポップス、ジャズ、シャンソン、歌謡曲、大正時代や昭和
初期の歌。
クミコが唄うと、それらの歌は全く違う歌になる。彼女が唄いだしたとたん、空
気は一気に凝縮し、そこにあるはずのない「世界」が映しだされる。観客は、そ
の異界に連れ去られて呆然とする。まるで幻灯師のような歌い手である。久世光
彦氏なども「クミコの唄う‘乙女のワルツ’を聴くと、死にたくなる」と絶賛し
ている。一昨年、彼女の歌に惚れ込んだ作詞家の松本隆氏がCD「AURA」をプロ
デュースした。今年は、エイベックスの大人向け部門(彼女はオトナのオンナで
ある)、エイベックス・イオからCDが出る。しかし、類い希なる表現者である
クミコの真骨頂は、やはりライブ。ゼヒ一度体験してみてほしい。その濃厚な味
わいにヤミツキになること間違いナシ。
まさに、熟したアボカドのような歌い手である(……?!)
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■連載【稲村月記】vol.12 高瀬がぶん
         「原因不明の三つの出来事」の巻
午前4時ごろだったろうか、いつものようにPCをいじっていると、突然、聴い
たこともないオルゴールの音色がどこからか聞こえてきた。そして10秒ほどして
ピタリと止まった。
自分でオルゴールを買うような趣味はないし、いったいどこにそんなものがあっ
たのか? としばし考え込んだが、そういえば、玄関の下駄箱あたりにディズニ
ーキャラのオルゴールらしきものがあったっけ、と思い当たった。
この続きは以下のURLで。
     http://www.k-hosaka.com/gekki/gekki12/gekki12.html
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        春野景都【興味津々浦々】バックナンバーはこちらからどうぞ。
       http://www.k-hosaka.com/inamura7/tutu.html
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■連載【興味津々浦々】vol.13 「ジャパニーズ・ガウンの巻(12)」春野景都

(最終章)
月日がたつのは早いなあ。一年前なんですよね、ひょんなことがきっかけで、椎
野正兵衛がつくった130年以上も前のシルクを追いかけることになり、気のむく
ままに書き綴りはじめたのは。椎野正兵衛さんっていったい誰なの? と言う人
はこれまでのジャパニーズガウンを読んでもらえばわかりますので、どうぞ、ウ
ェブページにとんで読んでみて下さい。
横浜開港とシルク、そして、その日本のシルクガウンが世界にもたらしたもの
は、考えていた以上に大きなものでした。ヨーロッパでのジャポニスムの動きや
その周辺のことを調べようと、京都に行ったりしているうちに、シルクだけでは
なくて沢山の日本の文化や、興味深い人々に出会うこともできました。それに群
馬の蚕博士と知合って、何百匹というお蚕さんも育てて繭もいっぱいできまし
た。最初は気持悪かったけど、育ててみるとやっぱりこれが不思議とかわいいい
のね。
一つのことがいろんなことに繋がっていっちゃったなあという感じで、書いてる
わたしとしては、実におもしろい一年間でした。最後のほうでちょっといろいろ
あって、書けないことも様々でてきてしまったので、ここらへんでいったんおし
まいにします。
中途半端でごめんなさい。
それにしても、こうやってメルマガというかたちだったからこそ、いろんな人か
ら感想や御指摘をいただくことができました、ほんとに、読んで下さったこと感
謝しています。
またなにか、興味津々浦々で書いていけそうなことがみつかりましたら、新たな
気持ではじめますので、その時はまた読んでやって下さいね。ほんとにありがと
うございました。   (けいと)
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■編集後記(けいと)
庭のレモンの木に花がついたの。数えてみたら、うっそ!信じられない。40個以
上あるんだよ。こんなことはじめてです、、なんて、いつものように編集後記を
書いてたんだけど、がぶんさんから、レモンの話なんてどうでもいいから、ちゃ
んと最後のご挨拶を書いてね!と言われちゃった。どこからどうやって、何を書
いたらいいんだろう?
小学生のころ、授業参観にきた母が言っていた。「あなたはどうでもいいことは
おしゃべりなのに、肝心な時にはいつも、えっとえっと、えっとーーになっちゃ
うのね」って。その日もわたしは国語の時間、皆のまえであてられて、主人公の
気持を答えるのに、なんと「えっとー」を10数回くりかえしただけで、まっかに
なって座ってしまったのだ。いまだにその時の、わかってるのにまとめられない
でいるもどかしくて恥ずかしい気持をよく憶えてる。今では肝心なことでもそう
でもないことでも、すっかりおしゃべりになったと思ってたけど、ときどき思う
の。ほんとはわたし、まだまだそうじゃないなって、それに、そうじゃないこと
のほうがほんとかもしれないなってこと。
えっと、えっと、えっとーーー      またね! 
そして、ゲスト劇場をはじめ、おすすめのコーナーや質問保箱など、投稿記事を
寄せてくれたみなさん、ほんとに、ありがとう。意見や文句を遠慮なく言わせて
もらったこともあったけど、わたしたちはいつも、楽しく、そして、感心したり
しながら読ませてもらっていました。感謝してます! 
必ずお会いする日もくると思いますので、その時もまたよろしくね!(けいと)
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■編集後記(がぶん)  
とりあえずメルマガは休憩ということになりましたが、ホームページの方では、
できればこれまで以上の頻度で「稲村月記」を続けようと思っています(はい
はい、どうせヒマですから)。
でも、悲しくて涙が出ました・・・・なにがって、奇しくも最後号のメルマガ配信と
なった本日未明、我が家の猫てんこちゃんのテンカンの発作が止まらなくなり、
そのまま逝ってしまったのです。お前が死んだ日は忘れないだろうね。               ★********************************************************************★
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発行人・高瀬がぶん/編集長・春野景都/スーパーバイザー・保坂和志 
〒248-0024 神奈川県鎌倉市稲村ヶ崎5-11-13
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